随分前、横浜の桜木町にシンガポールカフェがあって、そこで初めて出合ったのが「カヤジャム」でした。「シンガポールの伝統的なジャムですよ〜」って説明されたのを覚えています。
その数年後、シンガポールからの留学生に「カヤジャムって美味しいよね〜」って話しかけたらすっごく喜んで、カヤジャムは各家庭で作るとか、その家によって個性があるとか、日本人でカヤジャム知っている人はほぼいないとか、日本のどこで食べられるのか教えてくれとか、カヤジャム話で一気に盛り上がった記憶があったりします。
シンガポールの食べ物って、海南鶏飯やバクテーなど主食系のイメージが強過ぎて、最初にカヤジャムって言い出す日本人はおそらく珍しかったのかも? そんな思い出のあるカヤジャムを『カルディ』で発見! 早速購入して、何年かぶりの味を楽しむことにしました。
商品名は「カヤミラ ココナッツジャム(カヤ)」215g入りで537円。原材料はココナッツミルク、全卵、パンダンジュースなど。「パンダンジュースって何?」と思って検索したら、パンダンという植物の葉っぱを煮出して作るジュースのようです。
そのパンダンリーフは“東洋のバニラ”と呼ばれていて、ベトナム・タイの料理でよく使われるものだそう。日本でも、沖縄や小笠原諸島で生えているらしい。ココナッツもパンダンリーフも気軽に手に入らないので、日本のママが手作りするにはなかなか大変そうです。
そして、シンガポールではトーストに塗るのが一般的で、朝の定番ジャムなんだとか。日本でいうなら“ご飯に海苔”みたいなものか?
カルディの商品紹介サイトには、「焼きたてのトーストにたっぷり塗ってココナッツの香りが口いっぱいに広がる至福のひと時をお楽しみください。パンケーキやスコーン、アイスにもどうぞ」と書かれています。確かに、パンケーキやスコーンにも合いそうです。
実際に食べてみると、さつまいもペーストとかクリペーストのようなトロリねっとりした口当たりで、後からココナッツがふわっとやってくる感じ。ココナッツ好きにはもしかして物足りないかも?
逆に、ココナッツがさほど好きではない人には「絶妙なバランスで最高です」と言う味。目隠しして食べたらおそらく、芋栗系スプレッドだって勘違いしそう。ココナッツが主張し過ぎないからこそ、まろやかでじんわり優しい甘味と美味しさが際立ちます。
シンガポールには行ったことないけれど、これと紅茶で迎えるホテルのモーニングとかアフタヌーンティって、きっとほっこりするはず。アジア旅行でローカルフード食べて、辛かったり酸っぱかったりグイグイくるものを食べまくった後、ちょっと引いた感じの控えめな美味しさ。日本の甘味にもどこか通じるカヤジャムは、きっと癒やしの時間をくれること間違いなしです。
シンガポールに行ったことがある人もない人も、カヤジャムは日本人の口に合う美味しさなので、ぜひ一度買ってみては? エスニック感控えめ、どこかホッとする美味しさですよ。
(ロドリゴいしざわ)