マッチこと近藤真彦が、前クールで人気を博したドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)で、出演したわけではないが、“脚光”を浴びた。磯村勇斗が1986年にタイムスリップした際に演じた生意気な学生が「ムッチ先輩」で、決めゼリフは「ムッチでーす」。モデルはマッチで、「ザ・ベストテン」(TBS系)などで本人が発した「マッチでーす」を踏襲したものだった。
マッチと田原俊彦、野村義男による「たのきんトリオ」といえば、80年代男性アイドルのトップに君臨。何でもアリな昭和の時代から、様々な伝説が誕生したものだった。
芸能と学業を両立させていたころの平均睡眠時間は、2時間ほど。18歳で自動車の運転免許を取ると、19歳で愛車をプレゼントされた。世界に1台しかない特別仕様のレーシングカー「ニッサン・マーチ・スーパーシルエット」だった。マッチは同車のイメージキャラクターを務め、「マッチのマーチ」というキャッチコピーでCMに出演。同車を人気モデルに押し上げた。
規格外の実話は枚挙にイトマがないが、ロックバンドのSOPHIA・松岡充もマッチの驚嘆に触れた1人だ。マッチはレーシングチームを率いるほどの車好きだが、松岡も高級外車を多数所有している車ファンで、鈴鹿サーキットのVIPルームでは何度も顔を合わせていた。
ある日、マッチのほうから「松岡くん、来てたんだ」と話しかけてきた。帰路の段になると、「松岡くん、どうやって帰るの?」と聞いてきたため、「僕はスポンサーさんのバスがあるので、それに乗って帰ろうかなと思ってるんですけど」と返した。すると、「一緒に帰ろうよ」と誘われたため、「いいんですか? 車ですか?」と聞くと、マッチから返ってきたのは、「ううん。ヘリ」の信じられないひとこと。
「本当の驚きはそこからです。松岡さんが『ヘリですか? ヘリとかお金とかかかるんじゃないですか?』と素朴な疑問を投げると、サラリと『全然かからないよ。みんなで割ったら安いもんだよ。50万円かなって…』。しかもそれは、レース場から最寄り駅までのわずか数分の価格でした」(芸能リポーター)
松岡はもちろん、無料のバスで帰った。真のスーパースターとの金銭感覚の違いをまざまざと感じたという。
そんなマッチの栄華は2020年、「週刊文春」が不倫を報じたことで終焉を迎えた。無期限の芸能活動自粛処分を受けたあと、翌21年4月に旧ジャニーズ事務所(現・STARTO ENTERTAINMENT)を自主的に退所。いまだ、メディア露出は減ったままだ。
「不適切」は時として、わが身に降りかかるようで…。
(北村ともこ)