着物、白塗りメイクにカツラという女太夫の姿で一世を風靡したピン芸人・コウメ太夫。2005年に出演した「エンタの神様」(日本テレビ系)で大ブレイクし、「チクショー!」のフレーズは子どもから大人までが知るほど浸透した。最盛期は月収400万円、年収5000万円に達したが、“一発屋芸人”としての峠を越えると、表舞台から姿を消した。
ピーク時のおよそ3年後、マネージャーの進言によって不動産経営を始めた。当時を知る芸能記者が振り返る。
「西武池袋線の沿線に、2階建てで計6部屋あるアパートを約5000万円で購入したのです。年収5000万円でも豪遊しなかったため、3000万円ほどの貯金があった。それを頭金で突っ込んで、残りのおよそ2000万円は20年ローン。満室であれば、毎月25~26万円がコウメさんの手元に残るらしい」
笑われる芸風ゆえ、あまりコウメのルーツはフィーチャーされないが、実は、父は芸能プロデューサーで母は元女優、元妻は作家という芸能一家だ。自身は梅沢富美男劇団出身で、当時は女形も演じていたことが太夫芸につながった。妻との間に男児をもうけたあと、離婚。シングルファーザーで、実母と3人で子育てをした。息子は現在高校生。不動産オーナーと芸人の2足のワラジをはいて、息子を大学に進学、卒業させるのが夢だという。
「息子さんの学費は、コウメさんとお母さんで折半。私立の学校に入れました。芸人収益は月3000円まで落ち込んだことがあったと言いますから、不動産運用に助けられた格好です」(前出・芸能記者)
13年に、「第1回ムーンウォーク世界大会」のおもしろ部門で準優勝。16年ごろから、ツイッター(現X)で発信していた「#まいにちチクショー」がジワリと人気になり、バラエティ番組からのオファーが再び増えた。20年以降は俳優としても活躍し、昨年はなにわ男子・大西流星主演のドラマ「紅さすライフ」(日テレ系)にレギュラー出演。大西とtimelesz・松島聡の父親役という、容貌に似つかわしくない役柄だった。
かつての一発屋芸人はすでに、「チクショー」と嘆く必要がない生活を送っている。
(北村ともこ)