シュツットガルトからバイエルン・ミュンヘンに電撃移籍したサッカー日本代表DF伊藤洋輝の存在が、韓国メディアに大きな不安とモヤモヤをもたらしている。なぜなら、25歳のブレイク真っただ中な日本人DFがドイツ名門における守備網のラインナップを劇的に変化させてしまう可能性が浮上しているからだ。
6月に約50億円の移籍金でバイエルンへと加入した伊藤は、本来サイドバックでプレーする選手だが、新天地ではCBとしての先発出場が見込まれているという。現地ドイツのサッカー専門メディア「transfermarkt」が公開した新体制バイエルンのスタメン予想には、最終ラインのCBとして、今夏の加入が確実視されているドイツ代表DFヨナタン・ターと伊藤の名前が並んだ。
これはあくまで“予想”に過ぎないが、新たにバイエルンを指揮するヴァンサン・コンパニ監督は伊藤の守備力を高く評価しており、ベンチ要員にわざわざ50億円もの大金を費やすことは考えづらい。
すると、このスタメン予想にショックを受けているのが韓国メディアとサポーターだ。というのも、バイエルンは昨夏に韓国代表DFキム・ミンジェを補強しており、23-24シーズンは彼を守備の要として据えていた。それが日本人DFの到来によって状況が一変し、わずか1年での放出論まで囁かれるようになってしまったのだ。
「キムは22-23シーズンにナポリで飛躍的な活躍を見せ、セリエAの年間ベストイレブンにも選出。26歳と最も脂が乗ったタイミングでバイエルンにステップアップを遂げましたが、チャンピオンズリーグ・ベスト4で対決したレアル・マドリード戦での2失点に絡むミスで、監督からの信頼を大きく損なってしまいました。その数カ月後に新監督に就任したコンパニはおともとCBとして活躍していたベルギーのレジェンドで、チーム改革の初めの一手が最終ラインの抜本的なテコ入れでした。で、伊藤とのサインだけでは足らず、レヴァークーゼンからドイツ代表DFヨナタン・ターの獲得を目指している以上、おそらくコンパニには昨季までの守備網の面々に大きな不満があったということでしょう。なお、『transfermarkt』がキムの“先発落ち”を予想したことは多方面にショックをもたらしており、特に韓国メディア『Xpors NEWS』は『キム・ミンジェが日本人CBに追いやられる衝撃的な展開』と報じると、『キムが伊藤とターの存在により、来季の予想スタメンから排除されてしまった』『シーズン前にキムは自らの価値を証明する必要がある』などと悲観的に伝えています」(スポーツライター)
もちろん、アジア系プレイヤーには厳しい審査の目が向けられる傾向が強いドイツ・ブンデスリーガだけに、伊藤も、ひとたびミスが続けば、キムのように評価を下げてしまう展開も考えられる。
伊藤にとっての24-25シーズンはキャリアで最も大きな挑戦となることは間違いないだろう。
(木村慎吾)