米ペンシルバニア州で演説中だったドナルド・トランプ前大統領の銃撃事件から1週間。TBS系報道番組「サンデーモーニング」キャスター・膳場貴子の発言の大炎上騒動ははいまだ完全には鎮火していないと言っていいだろう。
炎上騒動までの経緯を振り返っておこう。トランプ氏は日本時間の7月14日、同州バトラーで開かれた集会で演説中、複数回の発砲を受け右耳から流血。銃弾は顔の横をかすめ、命に別条はなく、すぐにボディーガードらに囲まれながらその場を後にした。同日放送の「サンデーモーニング」では膳場は、まず「民主主義の根幹である選挙を暴力で妨害してくる。許せないことではあります」と事件に言及。その後、元外務事務次官・藪中三十二氏が、銃撃を受けた直後のトランプ氏が聴衆に向けて右手を挙げて無事をアピールしていたことに関して「“オレは元気だぞ!“と。むしろ選挙でいうと、変な話ですけど、有利に働く可能性がある」と大統領選への影響に触れた。
すると、膳場も「そうですね。プラスのアピールにもなりかねない、という感じもしますね」と同調し、銃撃事件がトランプ氏の当選を後押しする可能性があると話したのだった。
この膳場の発言が大きな波紋を呼び、お笑いタレント・ほんこんもこれを報じたネット記事やポストをXで引用し「酷い話」「なんちゅう事を言うねん」と怒りを伝え、「無事でよかったが聴衆に犠牲者が 合掌 また偏った報道している日曜朝の番組もある」と綴っていた。
「国内では2022年7月にトランプ氏とも親交が深かった安倍晋三元総理が同様のケースで凶弾に倒れる事件が起きており、聴衆の目の前で政界の功労者が暗殺される恐怖と悲しみを乗り越えたばかり。アメリカの行方を左右する重大な選挙前とはいえ、膳場アナの言葉には『キャスターがこれを言ってはダメでしょう』『生きるか死ぬかの時にプラスのアピールにもなりかねないは不謹慎すぎる』『聴衆の1人も犠牲になってるのにテレビでアナウンサーがこの発言って信じられない』などと非難が殺到しています。うがった見方をすれば、膳場や藪中氏は、勢いのあるトランプ氏を暴力で封じ込めようとする行為がむしろ彼の人気を高めることになる“皮肉な逆効果”を伝えることで暴力という手段を批判した、とも考えられなくもない。ただ、真相は本人たちにしかわかりませんし、『プラスのアピール』という表現は、反射的に出た印象は否めず、批判があっても仕方がないところでしょう」(テレビ誌ライター)
今回の一件を受け、結果的にトランプ氏の人気が高まることに繋がることはあっても、それはあくまで九死に一生を得た先の展開であり、「アピール」という表現は視聴者に大きな誤解を招くニュアンスになった。
(木村慎吾)