「好きな芸能人は誰ですか?」市井の人を取材する時によくする質問なのだが、質問返しされることもよくある。そんな時に私が「ハナコの秋山寛貴さんです」と答えると、ほとんどの場合は「なんで?」と驚かれる。ひどい時には「岡部じゃなくて、大きいぼーっとしてるほう?それとも小さい地味なほう?」と聞き返される。
しかし今こそ声を大にして何度も言いたい。私はハナコ秋山寛貴が大好きだ。7月20日から21日に放送された「FNS27時間テレビ」(フジテレビ系)の今年のテーマは「日本一楽しい学園祭」。露骨に若い視聴者を取り込もうとしているなと感じたが、21日放送の「カギダンススタジアム」には目を奪われた。この企画は放送中の「新しいカギ」(フジ系)に出演中の芸人らが、高校生と本気でオリジナルダンスを練習、発表、競う企画で、ハナコ秋山は三重県の三重高等学校ダンス部「SERIOUS FLAVOR」とタッグを組んだ。
このダンス部はストーリー性を大事にしたダンスが特徴で、秋山が3カ月間猛練習する様子も放送された。秋山は器用ではない。努力の人だ。VTRでは簡単で単純なステップもなかなか踏めず、身体も硬く、ダンスを本気でやっている高校生と一緒に踊れるのだろうかと心配になった。が、本番では細かいステップを高校生の群舞とピタッと合わせ、脚をピンと伸ばして高く上げ、難易度の高いアクロバティックな「シフト」という大技も大成功させ、「お父さん役」を全うしたのだ。
この企画のMCを務めていたSnow Man最年少のラウールは「ちょっと本当に、秋山さんの努力がすさまじすぎて…それは、三重高校の皆さんや先生の温かい教えがあってこそだと思うので、よいチームワークだと思いました!」とコメントしながら目をウルウルさせていた。
私は涙と鼻水を大量放出した。この企画で優勝を獲得したのは、埼玉県の武南高等学校ダンス部とお笑いコンビ・チョコレートプラネットの松尾駿で、たしかに上手だった。それでも私の中では三重高ダンス部と秋山が大優勝だった。
努力は必ずしも報われるものではない。なのに秋山を見ていると努力せずにはいられなくなる。努力すれば目の前に新しい世界が拓けるかもしれないと思えてくる。そんな夢を見せてくれるハナコ秋山寛貴が私は大好きだ。
(森山いま)