放送中のドラマ「新宿野戦病院」(フジテレビ系)で新宿・歌舞伎町の交番に勤務する巡査・岡本勇太を好演中の濱田岳。
作中では登場人物たちを視聴者と同じ目線で見つめ、NPO法人「Not Alone」新宿エリア代表であり、3年先まで予約が埋まっているほど人気の“歌舞伎町の女王様”でもある南舞(橋本愛)から、どうやら好意を寄せられている。
舞に好意を寄せていた亨(仲野太賀)は、今やヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子)に鞍替えしたようだが、次週予告では“May女王様”こと舞に目隠しをされ、プレイ中らしき亨の姿があったので、これからまた岡本(濱田)が気を揉むことが増えそうだ。あちらを立てればこちらが立たず、右往左往するキャラこそ濱田の技量の見せどころだろう。非常にワクワクする。
濱田の演技はどんなキャラを演じても緻密で、どれだけ“いい人”を演じていてもほんのりと漂う狂気が醍醐味だと思っている。前クールで放送された「季節のない街」(テレビ東京系)で濱田が演じた六ちゃんは、仮設住宅が並ぶ“街”の中で、空想上の電車を毎日運転する「どですかでん」以外の言葉はほとんど発さない役柄だったが、濱田以外の別の誰かが演じられる役柄ではなかったように思う。たしかクドカンこと宮藤官九郎は、どこかの会場で濱田と言葉を交わした時にうっすら漂う狂気を感じ、六ちゃん役は濱田しかいないと思ったと公言していた。
濱田がクドカンの脚本作品に出演するのは、「新宿野戦病院」で2度目だが、「新宿野戦病院」を見る限り、クドカンの濱田に対する信頼感は絶大だ。役者として好きで好きでたまらないことが伝わってくる。これまでの多くの作品に濱田を起用していたら、もっともっと面白い脚本になっていたに違いない。
濱田のことをネット検索していたら「みんな大好き濱田岳」というフレーズにぶつかった。そうなのだ。みんな濱田岳が大好きなのだ。それなのに。
「好きになるのが遅すぎるんだよバカヤロー」とクドカンを叱り、今後のクドカン作品に濱田を登場させるよう確約を取り付けたい。
(森山いま)