人生の先輩である大人や親たちは、どうしても子どもたちに“伝えなければ”と思ってしまいがちです。実際に伝えなければならないことが山のようにあるからこそではありますが、でも、あえて“聴く”ことに意識を向けるからこそ見えてくる世界だってあるんですよ。
■子どもの話を“聴いてくれる”人はそう多くない!?
家庭だけでなく園や学校、習い事などさまざまな場で、子どもたちは日々教わる立場にいます。子どもにとって日常生活は大人に“言われること”で溢れているのです。
そんな中で「あなたはどう思う?」「あなたはどうしたい?」をじっくり聴いてもらえる機会って、それほど多くはないでしょう。家庭ではそれができると子どもに感じてもらうことは、自分自身に向き合って考え、自分の思いを伝えることを後押しできるのです。
■「聴く=理解・肯定」でなくてもOKなワケ
聴くということは、なんでも理解して肯定してあげるということではありません。まずは「あなたはそういうふうに考えているのね」と、受け入れることに集中しましょう。「私も昔はそう思っていたなぁ……」と共感できる場合は、ぜひそのことを伝えましょう。
人生の先輩として、別の考え方や選択肢を渡したい場合でも、その前に子どもの考えを受け止めることで、子どもが受け取りやすい形で伝えることができます。自分の思いを聴いてくれ、受け入れてくれたうえで別の選択肢を提示されるのと、「とにかくダメ!」と提示されるのとでは雲泥の差です。
■聴いてもらえるから話すことができる!
“親が子へ”という一方的なコミュニケーションが当たり前になっていくと、子どもは「どうせ言っても……」と何も言えなくなってしまいます。
伝えたことを受け止めてもらえる環境だからこそ、安心して思いを伝えることができるのです。聞いてもらえるという信頼が、お互いの意見を受け入れることへの信頼にも繋がっていきますよ。
“何でも受け入れて肯定する”では、伝えるべきことも伝わらなくなってしまいます。伝えるためには信頼の土台が必要。お互いに譲れないものがある人同士のコミュニケーションはいつでもうまくいくわけではありませんが、相手を理解しようとする姿勢は相手にしっかり伝わります。「自分の言いたいことだけを伝える日々になっているかも……」と感じたら、まずは子どもの意見を“聴く”ことにも集中してみてくださいね。
(Nao Kiyota)