J1・ヴィッセル神戸の元日本代表FW大迫勇也がまたも“キレやすい”一面を露呈し、それをなだめたベテランの同代表DF長友佑都には称賛の声が集まっている。
いさかいは、Jリーグ第34節・ヴィッセル神戸 vs FC東京で展開されたFW大迫とMF高右洋(東京)のアツいバトルから勃発した。特にプレーで精彩を欠いていた大迫は再三にわたるコンタクトでイライラを募らせると、FC東京が1点をリードしていた33分に、ついに怒りが爆発。
しつこく自身へのマークを続けてきた高とセンターサークル付近で激しく体を接触し合うと、主審は高が大迫のシャツを引っ張ったとしてファウルとジャッジした。すぐに高は大迫のもとへ向かい、謝罪の想いを込めたハイタッチを求めたが、大迫の怒りは収まっておらず、高を突き飛ばしてしまい、バトルが勃発。今度は大迫の行為を見たFC東京のMF東慶悟が大迫を突き飛ばす展開となり、両陣営が乱闘になりかける寸前、仲裁に現れたのが38歳のベテラン・長友だった。
大迫とは長く日本代表で共闘した仲の長友は、まずはチームメイトの東をなだめると、ブチギレモードが続く大迫にも冷静に語りかけて事態を収束させたのだ。
「ここでさらに2人を刺激するようなことでもあれば、一気に乱闘が始まってしまう局面でしたが、そこはヨーロッパの名門を渡り歩いてきた経験値が生きたようで、サポーターからは『流石の長友さん』『すぐにバトルを鎮静化させたのスゴい』と讃える声も。大迫自身、34歳とJリーグでもベテランの部類ですが、最近では試合中に感情的になりすぎてしまう場面も目立ちます。チームメイトですら、なかなか彼をコントロールできずにいる中、長友は敵チームながら、いとも容易に大迫を落ち着かせることに成功。かつてはイタリアの強豪インテルでキャプテンマークを巻いたこともある長友は、悪童と煙たがられた元イタリア代表FWアントニオ・カッサーノと親友になるなど、たぐいまれなコミュニケーション能力を発揮。先日は、日本代表として参加したアジア最終予選・オーストラリア戦の試合後、痛恨のオウンゴールを喫してしまったDF谷口彰悟に近づくと、『どれだけお前が防いできたか』と声をかけ、同僚に対するきめ細かいメンタルケアが絶賛されていました」(スポーツライター)
もしも大迫の怒りを鎮めることができず、両チームが入り乱れる揉み合いとなった場合、不要なカードが乱発され、両者ともにその後のリーグ戦にも影響が出ていたかもしれない。
日本代表やヴィッセル神戸だけでなく、Jリーグにとっても、豊富な経験とキャプテンシーを兼ね備えた長友のような存在はなくてはならないものだと言えそうだ。
(木村慎吾)