タレントの伊集院光が12月17日放送のTBSラジオ「深夜の馬鹿力」に出演し、M-1グランプリの審査員について自らの論を披歴した。
12月22日に開催予定の漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2024」(テレビ朝日系)の審査員9人が発表され、オードリー・若林正恭やアンタッチャブル・柴田英嗣、かまいたち・山内健司などの新顔が加わった。
常連組の中川家・礼二やナイツ・塙宣之なども含め、いずれもM-1グランプリの王者や上位進出の経験がある漫才のスペシャリストばかりになったことで、伊集院はこう持論を述べた。
「昔のM-1ってさ、漫才の人ってそんな審査してた? 最初のうちは、松本(人志)さんはいるよ、いるんだけど、俺覚えてんのは、青島(幸男)知事とかやってたよね。なら小池(百合子)がいないとね、都知事枠。あと、演出家の鴻上尚史さんがいたり、もちろん談志師匠もいたり、ラサールさんなんて漫才はやったこともないけど。大竹まことさんもいたよね…ってことは、むしろ松本さん以外に巨人師匠はいたものの、それこそ漫才ばっかりにしないようにしようみたいなことだったと思うのね」
対して、近年の顔ぶれについては、
「全員経験者が審査員で、経験者がテクニカルなことや、そのM-1を勝つのはこうあるべきみたいなことを論じ始めてる感じは、何か、だからもうボーっとしちゃう」
と、漫才論に特化した雰囲気になっていると指摘している。
「M-1立ち上げの2001年から数年間は、落語家・立川談志さんや春風亭小朝、タレント・大竹まこと、ラサール石井、渡辺正行といった各界のベテランたちが審査員を務めていました。ところがここ数年は、若手の舞台をくまなくチェックしているオール巨人ですら『何が面白いのか分からなくなってきた』と嘆くほど、漫才のネタが多様化しているため、現場に近い若手の実績者が審査する傾向がより強まっています。2018年から5年間審査員を任された落語家・立川志らくに対しても『お笑い芸人でもない人間が偉そうに語るな』とのヤジが飛んでおり、“M-1で実績のある者がジャッジするべき”という世間の要求が強まっているようにも思いますね。その分、漫才好き以外のライト層にとっては敷居の高い大会になりつつあるといえます」(テレビ誌ライター)
そもそも漫才に点数を付けるということ自体がハードなタスクであり、その道で一目置かれた職人に任せるほかない、というのが実情なのかもしれない。
(木村慎吾)