もはやドラマではなくドキュメンタリー? 俳優・松重豊が人気ドラマシリーズ「孤独のグルメ」(テレビ東京系)の撮影前に必ずおこなうという特殊な“役作り”について語っている。
松重にとってキャリア初の主演作品で、低予算ドラマながら、配信やDVDで多額の利益をもたらしているという「孤独のグルメ」。松重が演じるのは輸入雑貨の貿易商を個人で営む井之頭五郎で、彼が日本各地の営業先で見つけた飲食店に立ち寄り、ただただ食を満喫するというシンプルなストーリーでおなじみだ。
深夜ドラマとしては珍しい10シーズンというロングヒットとなり、今年も8年連続で大晦日のスペシャル放送が実施されることが決まった。
12月15日のニッポン放送「笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ」にゲスト出演した松重は、なかなかのボリュームを平らげる必要がある撮影の過酷さについて聞かれ、「腹減ってるんですよ、あの時」「1食を食べるまでにお腹を空かせてなきゃいけないから、前日ぐらいからセーブして、その日は何も食べないでずっと待ってる」と、かなりの空腹状態で本番に挑むのだという。
しかも、松重が実際に飲食店での撮影を始めるのは「昼の14〜15時」にまでズレ込むといい、スタンバイ中はスタッフが食べている弁当を横目に見ながら「とんかつ、美味しいのか…それ…」と限界ギリギリの状態だと説明。また、実際の食事シーンについては「一発本番」で撮影するとのことで、「本当に腹空かせた状態で食べてるんで。ドキュメンタリーです、ほぼ」と表現した。
「松重は、『孤独のグルメ』撮影時の唯一のルールが“空腹で臨むこと”だと明かし、それさえ守れば、食べている最中に『口から何が出ようが、ネクタイにこぼそうが、全然あり』と、とにかくリアルさを重視した作りなのだといいます。2020年10月にABEMA『7.2 新しい別の窓』に出演した際には、当初『俺がただ1人で食ってるだけで、誰が見るの? どこが面白いの?』と不思議だったと明かし、その後の反響の大きさに驚いたと告白。草彅剛から『めちゃくちゃ美味そうに見えますよ』と芝居を絶賛されても、『腹空かせてるからね』『ずっと待ってて、本当にイライラするし、それは美味しい表情にもなる』と“演技ではなく素”だと自虐していました」(テレビ誌ライター)
寡黙なたたずまいで、大袈裟に演じることなく、自然な存在感を纏っているところも同作が支持されるゆえん。松重にとっては苦行のような“空腹ルール”が、年末年始のテレ東を支えている。
(木村慎吾)