今年の冬も感染症が流行していますが、みなさんも普段からさまざまな対策をしていることでしょう。とはいえ、予防していたとしても風邪やインフルエンザにかかってしまうことはあります。そんなときには、できるだけ早く治すことを考えたいものです。そこで今回は、感染症に詳しい内科医の久住英二さんに、風邪・インフルエンザを重症化させないための方法をうかがいました。
■タウリンによる腸活がオススメ
腸は免疫の70%以上を担う器官で、小腸には免疫細胞が活発に働く拠点である“パイエル板”が存在します。そのため、腸内環境を整えることで、感染症の重症化リスクを下げることが期待できるそうです。
この腸の免疫細胞の助けになるのが、イカ、タコ、牡蠣などの魚介類に多く含まれるタウリンです。タウリンは、損傷した腸管バリア機能を改善して腸管の微細炎症を整えることで、免疫が低下しているときのパイエル板の減少を抑制することが分かっているのだとか。その他にも、タウリンは病原性細菌の増殖を抑制して腸内環境が整う働きをするそうです。風邪気味のときにタウリン入りの栄養ドリンクを飲む人もいますが、実は理にかなっていたんですね。
また、タウリン以外ではヨーグルトなどの乳酸菌を含む食品や食物繊維が腸活にいいといわれますが、感染症にかかっているときは胃腸の働きが低下していることもあるので注意が必要です。りんごやバナナに含まれるペクチンなどの水溶性食物繊維やよく煮込んだ野菜スープなど、胃腸に負担の少ないものを選ぶといいそうですよ。
■ビタミンB群でエネルギー供給を促進させよう
感染症の際には、病原体と戦うためにエネルギーを消費するので、エネルギーを効率よく供給するのに役立つビタミンB群、とくにビタミンB1、B2、B6を摂取することがポイントです。
■免疫細胞や抗体を新たに作り出す材料となるたんぱく質を摂取しよう
免疫細胞や抗体を新たに作り出す材料となるたんぱく質も、意識して摂取したい栄養素ですね。卵、ささみやむね肉などの鶏肉、タラ・ヒラメなどの白身魚、豆腐などの大豆製品などがオススメです。
■血液循環を促進させよう
風邪やインフルエンザにかかっているときには、免疫細胞が効率よく全身を巡るよう無理のない範囲で身体をストレッチしたり自宅の中を軽く歩行したりするなどして、血液循環の促進を心がけましょう。
■飲酒・喫煙は避けること
日頃から飲酒・喫煙はよくないといわれますが、風邪やインフルエンザにかかっているときにはより避けるべきなんだとか。特に喫煙は絶対にNGとのこと。飲酒は回復が遅れたり、体内の炎症を悪化させる可能性があったり、睡眠の質を落としたりします。喫煙は血管を収縮させて血流を悪化させ、免疫機能の低下を招いてしまう上、感染症にかかっているときには病原体を攻撃する能力が低下して治癒が遅れてしまうそうです。
■自律神経を整えることを意識して
免疫機能の正常な働きを助けるために、自律神経のバランスを維持しましょう。そのためには、質のよい睡眠を確保して心理的ストレスの軽減を意識することがポイントです。
いかがでしたか? 風邪やインフルエンザにかかってしまっている人はぜひ実践を。今は健康な人も、万が一感染してしまった際に重症化しないための対策として、ぜひ覚えておいてくださいね。