「BTSみたいな顔にしてください」
美容外科のカウンセリング現場で、昨年兵役を終えたJINとJ-HOPEを除く5人が今年6月に除隊予定の韓国の人気ボーイズグループ・BTSのような顔になりたいと切り出す女性がいるという。韓国の“ナムドル(男性アイドル)”たちの中性的かつ整った顔立ちは、男性たちの羨望を集めていることは想像に難くないが、実は日本の若い女性たちにも憧れのマトなのだ。しかし、それをそのまま真似しようとするのは、思っている以上にハードルが高いらしい。
「正直、“?”と思います」
そう話すのは美容外科医で「R.O.clinic(アールオークリニック)」(東京・渋谷区)院長の呂秀彦氏だ。さらにこう続ける。
「その方の顔のバランスと、BTSメンバーの顔の骨格やパーツ配置がある程度近ければ、無理なく“寄せられる”こともあります。しかし、まったくタイプが異なる場合は、大きなリスクを伴う施術になる可能性もあります」
どんな顔でもBTS顔に整形できる…そんな甘い夢を見て飛び込むと、思わぬ落とし穴にはまってしまう。
JINやVのように、もともと中性的な雰囲気をもつアイドルならメイクやヘアスタイルしだいで「そのまま女性になれそう」という印象もあるという。一方で、「“ナムドル顔”にこだわりすぎると、かえって顔がゴツく見えてしまうこともある」と呂院長は警鐘を鳴らす。
「理想は宝塚の男役くらい。あくまで美男子のような雰囲気を持った“美女”を目指すほうが、調和の取れた仕上がりになります」(呂院長)
さらに注意すべきは、“やっぱり戻したい”と思った時のこと。
「極端な整形をした後、元の顔に戻すにはかなり高度な技術が必要です。そういう時は、“サルベージ術”に長けた形成外科専門医のもとで相談することが重要です」(呂院長)
美容医療の技術が進歩する一方で、理想を追いすぎることで本来の個性や魅力を見失ってしまうケースも後を絶たない。“なりたい顔”を目指す前に、“似合う顔”についてもう一度、冷静に見つめ直すことが、「ナムドル整形」時代を生きる私たちに必要な視点なのかもしれない。