現在放送中のドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」(NHK)に出演する斉藤由貴の演技が反響を呼んでいる。斉藤は娘役の波瑠を支配し、意思を奪い、行動を規制し、恋人まで誘惑する怪物のような母親を演じているのだが、「私の母そのまま」「まるで自分の家庭を見ているよう」といった共感の声が殺到しているのだ。
「番組専用掲示板には、多くの共感コメントが書き込まれています。また、驚くのはその数の多さ。今ではほとんどのドラマがホームページを制作し、番組に関する掲示板を設けていますが、コメントが書き込まれるのは、よっぽどの話題作でもない限り1週間に数10本程度の場合がほとんど。ところが、このドラマは開始当時から100本単位で書き込まれているのです。それだけ注目度が高いことがわかります」(テレビ誌ライター)
斉藤は収録前の取材で「私が演じる母親はフリルのついた暴力を悪気なくやっちゃう」とコメント。このフレーズはマンガ家・岡崎京子を世に知らしめた89年発刊「pink」の中で使われているフレーズだ。好きでもない女に自宅に押しかけられ、掃除、洗濯、食事の世話をされた男が、一連の女がした行動を「フリルのついた暴力」と表現している。
「斉藤は高校時代、漫画研究部の部長でしたからね。このコメントも秀逸ですが、斉藤演じる母親が放つ濃厚な情念とはかなさは、さらに秀逸です」(前出・テレビ誌ライター)
心の闇の深さに妖しさをトッピングして演じられるのは、斉藤しかいないだろう。