【良いこと悪いこと】瀬戸紫苑は「パッヘルベルのカノン」で救われ「花音」で絶望、「カノン」は「繰り返す」の意味も持つが…
12月13日放送の「良いこと悪いこと」(日本テレビ系)第9話で、警視庁捜査一課の宇都見啓刑事(木村昴)が逮捕された。宇都見は偶然訪れたドの子=瀬戸紫苑(大後寿々花)のピアノコンサートに訪れたことがきっかけで交際、婚約へと発展。鷹里小同級生連続殺害は自分がしたことだとキング(間宮祥太朗)に明かすシーンもあった。
小学5年生になりたての頃、音楽の授業中にキング(野林万稔)らから、リコーダーの低い「ド」の音が出せずに失敗したことをからかわれ、「ドの子」と呼ばれるようになり、音楽が得意だと自己紹介していたことから、ドの音が出せなかったことで「得意なことを失敗する」などといじめられ、大好きなピアノが弾けなくなり、夏休み明けには転校した瀬戸紫苑(吉田帆乃華)。転入したタクト学園でピアノが弾けるようにトラウマを克服し、夢だったピアニストになった紫苑だったが、1年前、自宅で開講していたピアノ教室にキングと娘の花音(宮崎莉里沙)が「習いたい」とやって来た。ドの子としてのトラウマがよみがえった紫苑(大後)は、再びピアノが弾けなくなり自殺してしまう。そんなドの子の復讐として、宇都見は貧ちゃん(水川かたまり)、カンタロー(工藤阿須加)、ニコちゃん(松井玲奈)、大谷先生(赤間麻里子)、ちょんまげ(森優作)の殺害を認め、さらにこの日の前半でターボーのことも手にかけた。
ドラマ後半で、紫苑の命日に婚約者として「追悼コンサート」を開催した宇都見。「楽譜にドの音がないパッヘルベルのカノン」で救われた過去がある紫苑を思い出しながら、自分も壇上で同曲を演奏。演奏中にこれまで手にかけた6人の殺害シーンが宇都見の脳内として流れ、演奏後には壇上から客席に向かって口パクで「後は頼んだ」と言った瞬間に、大勢の警官から取り押さえられる。
「後は頼んだ」と言われたのは、カッターを持参して「追悼コンサート」に現れたキングに言ったようにも見えたが、おそらく同会場には「週刊アポロ」の東雲晴香(深川麻衣)とスナック「イマクニ」の店主・今國一成(戸塚純貴)の2人か、どちらか1人がいたことだろう。なぜなら、この日の放送のラストシーンでは、小学生だった紫苑(吉田)が笑顔でピアノを弾いて終わったのだが、その両隣には「誰か」がいたのだ。おそらくそれは東雲と今國に違いない。
スナック「イマクニ」の頭文字である「I」をデザイン化したコースターのロゴは、タクト学園の頭文字である「T」をデザイン化した校章とそっくりだったし、第2話で東雲が園子(新木優子)に「(いじめは)やったほうもやられたほうもなかったことにはできない。それを背負ってこの年まで生きてきてんのよ。だから、許さなくていいんじゃない?」といったセリフがやけに印象的だった。
さらにこの日の放送では、鷹里小6年1組の面々が「将来の夢」を語っているDVDで、紫苑が転入先と思われる校舎の前で話すシーンの画面撮りをしたカラーコピーを、東雲はシュレッダーに入れていたから、東雲と今國もタクト学園の卒業生だと思われる。
「カノン」とは、「森のくまさん」のような輪唱を含む「繰り返す」という意味を広く持つ音楽様式の1つでもある。キングと花音の登場で人生が暗転した紫苑だが、第10話のタイトルは「はじまり」。予告によると、キングの過去が暴かれることで、花音については当時の紫苑のように「いじめ」が「はじまり」そうだ。
今作はどのように幕を下ろすだろうか。
(津島修子)
