新曲をリリースするわけでもなく、本格的に女優業に転身したわけでもなく、そして若くもないが、いつもどこかの番組で目にする息の長いタレントがいる。その筆頭に挙げられるのは、松本伊代、早見優、堀ちえみの3人だろう。
彼女たちは競争の激しい芸能界において、精力的に活動をしているわけでもないのにデビュー以来、安定したポジションを保っている。
その理由はどこにあるのか。芸能ジャーナリストに聞いた。
「3人がデビューしたのは、アイドルが華やかに活躍した80年代の中で、最も豊作の年と言われた『花の82年組』。その人気たるや絶大で、知名度は老若男女と幅広く、現在のアイドルとは比べものになりません。しかもこの3人は、アイドルから妻となり母となった。世の酸いも甘いも経験しています」
しかも、当時の芸能事務所はアイドル管理が厳しく、公私にわたって言葉や礼儀作法を教えていたそうだ。
「大物芸能人や有名人が登場する番組でひな壇に呼んでも、きちんと対応できる。また、若い後輩がちょっと生意気なことをしても鷹揚に構えて対処する。昔話をさせれば、誰もが知っているような人とのエピソードを語ることができます。しかもギャラは、30万円前後と高くない。これだけの条件がそろえば、キャスティング担当にとって呼ばない理由はありません」
息の長い芸能人は視聴者からだけでなく、制作サイドからも愛されているようだ。
(李井杏子)