有村架純がヒロインを務める連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK)の視聴率が低迷している。放送1カ月を経て20%台はわずか3回のみで、5月1日には17.9%まで数字が落ち込んだ。これは前作の「べっぴんさん」の最低視聴率に並ぶ数字で、前々作の「とと姉ちゃん」と3作前の「あさが来た」では18%を割り込んだことがなく、早くもここ1年半のワースト記録タイとなった形だ。
その一方で有村の演技を評価する声は少なくない。8日の放送では集団就職で上京したヒロインが生まれて初めてのクリームソーダに感動する場面が映し出され、「表情が可愛すぎる!」といった声が続出。ところが、その達者な演技が視聴者を離れさせている可能性もあるというのだ。テレビ誌のライターが指摘する。
「朝ドラの視聴率を支えるのは“F3層”と呼ばれる50歳以上の女性視聴者たち。上の世代には集団就職をリアルタイムで知る人たちも少なくありません。彼女たちのなかには『ひよっこ』が描く世界観に懐かしさを感じる人もいますが、その反面に『観ていると胸が苦しくなる』という声もあるのです。有村の演技がリアルであればあるほど、当時の苦い思い出が浮かび上がってくるのでしょう」
集団就職の経験者には、当時のことを「一番思い出したくない青春」と語る人もいるほど。田舎者とバカにされたり食事がひどく粗末だったりと苦い思い出を持つ人は少なくない。離職率も高く、有村のような美人が夜の蝶に転職するケースも珍しくなかったようだ。
同作品ではヒロインが働く工場を、当時の施設などを使って精密に再現。実際に製品が作れるレベルになっているそうだが、そんな見事な再現ぶりもまた、集団就職世代の視聴者を逃す原因になっているのかもしれない。
(白根麻子)