8月31日に発売された「週刊文春」にジャズファンを驚愕させる記事があった。「世界的トランペッター日野皓正が中学生を往復ビンタ」というものだ。
日野といえば、日本人ミュージシャンとして、初めてブルーノート・レコードと専属契約。2004年には紫綬褒章を受章。国内外でコンサートを開催するかたわら「アジアを一つの国に」というテーマを掲げ、アジアでの演奏活動を行っている。さらに、学生らへの演奏の指導にも積極的に参加している。
記事によると事の起こりは8月20日、世田谷区教育委員会主催の「新・才能の芽を育てる体験学習」の一環として行われたコンサートで、日野が1人の少年にステージ上で暴力をふるったという。
アンコールの後半、演奏者のソロタイムでドラムをたたき続けた男子がいた。すると、舞台の隅にいた日野がそのドラマーに歩み寄り、スティックを取り上げた。それでもなお素手でドラムをたたき続ける男子の胸ぐらをつかみ、往復ビンタをしたというのだ。
この記事を読んだジャズ界に詳しい記者は、驚きを隠さない。
「暴力は許されません。ですが、あの日野さんが暴力をふるうなんて、そこに至るまでに相当怒る事情があったと思います。日野さんの口癖は『音楽は楽しいもの。音楽をやってる人間は、すごくピースフルなんだ』です。その言葉通り、平和を貴ぶ人なのに」
叩かれた男子本人は「自分が悪いんだと納得している」と記事にある。この件が、少年の心の傷にならないことを切に願う。