水谷豊主演ドラマ「相棒 season16」(テレビ朝日系)では、謎めいた策士の警視庁総務部広報課課長・社美彌子。井上真央主演ドラマ「明日の約束」(フジテレビ系)では、息子の死の真相をめぐり、井上演じるスクールカウンセラーの藍沢日向をじわじわと追いつめる吉岡真紀子を演じている仲間由紀恵。
清純派と言われてきた仲間が大きく飛躍したのは、2011年放送の主演ドラマ「美しい隣人」(フジテレビ系)だろう。同ドラマは“女は、苦しむ女を見るのが好き”というキャッチコピーの通り、檀れい演じる隣人の矢野絵里子を恐怖のどん底に突き落とす。
仲間のように、悪女を演じて飛躍した女優は少なくない。現在、視聴率トップを走る「ドクターX」(テレビ朝日系)で主演を張る米倉涼子は、松本清張原作の「悪女シリーズ」を演じた。沢尻エリカは、主演ドラマ「悪女について」(TBS系)。菜々緒は、松坂桃李主演ドラマ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(フジテレビ系)で、主人公を執拗に追い詰めるクールな悪女を演じ話題になった。いまや“悪女=菜々緒”と言っても過言ではない。
では、なぜ、ダークサイドの役を演じると、その後の仕事に結びつくのか。芸能ジャーナリストに聞いた。
「恋愛もののヒロインなら、ニコニコ笑ったり、泣いたりしていればどうにか形になります。ですが、悪女の場合は、深い心象心理を演じることが要求される。それは、単なる悪だけではなく、そこに至るまでの悲しみや憎しみや絶望。そして哀れまでも表現しなくてはなりません。しかも、品格まで要求される難役です。悪女を演じることで、演技の幅が広がるといわれているのはそのためです」
確かに、悪女に魅了される視聴者は多い。人気女優の新垣結衣や波瑠、高畑充希や有村架純、土屋太鳳らにもぜひ演じてもらいたいものだ。