昨年、俳優として大躍進を遂げた大野智。主演した「忍びの国」は2017年の映画収益ランキング・邦画部門で、ジャニーズタレント主演作のトップを記録した。興収はおよそ25.1億円。自身初の時代劇で、原作は大ヒット小説「のぼうの城」の和田竜氏。さらに、腕のある役者陣が脇を固めたことも、ひとり勝ちとなった理由だろう。芸能事情に詳しいフリージャーナリストはこう分析する。
「同作は、ジャニーズ主演作として史上初の応援上映(上映中に観客が声を出して観るスタイル)が催されたのも、他を引き離せた要因でしょう。元来、大野は嵐の中で一番人気といわれており、ソロで表紙を飾った雑誌は軒並み売り切れになったほど。芸術的センスに長けているのは有名で、デッサンや水墨画、絵画、彫刻や粘土模型、造型などの完全オリジナル作品を2008年に個展で展示すると、国内外から高い評価を得ました。CMに出演している縁から、JAL航空機の外装ボディのデザインを手掛けるなど、企業とのコラボも増えました」
器用なのは生まれつき。ジャニーズJr.となってダンス、歌も習得すると、そのセンスとスキルがますます磨かれた。それによって、大野の心に「アイドル引退」が芽生えることになる。
「個展開催、作品集の出版を経験して、本格的に芸術の道に進みたいと思ったそうです。本人がインタビューで使った言葉は、“燃え尽き症候群”。2009年、嵐の結成10周年というメモリアルイヤーに、彼は脱退することを考えていたそうです。もともと嵐は、松本潤、二宮和也、櫻井翔の3人のメンバー入りが決定していた。歌手デビューするなら歌唱力に定評がある大野が必要だということで彼の加入が決まったんです。そんな大野が辞めていたら、今頃どうなっていることやら」(前出・フリージャーナリスト)
ジャニーズ事務所への入所から20年以上たった大野は、奇才にして多才。欠くことのできない存在になったのだ。
(北村ともこ)