1月24日に放送されたドラマ「anone」(日本テレビ系)の視聴率が6.6%だったことが分かった。第1話の9.2%、第2話の7.2%からまた下げたかたちだ。独特の言葉選びと世界観でファンの多い脚本家・坂元裕二作品なのに、どうしたことか?
「ヒットメーカーの坂元氏ですが、近年はピントのズレを指摘する声もあります。例えば、16年1月期の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)は若者の群像劇にも関わらず、出演者は誰もSNSを使わずに留守電に吹き込むというシーンがありました。昨年1月期の『カルテット』(TBS系)は松たか子、満島ひかり、そして高橋一生という豪華キャストで注目されたにもかかわらず、平均視聴率は8.9%にとどまり、『逃げ恥』などのヒット作が目立つ火曜22時ドラマでは、むしろ低い方の部類に入りました」(テレビ誌のライター)
今回の「anone」では、出演者同士がSNSで連絡を取り合うシーンが登場。さらに主演の広瀬すずがネットカフェに寝泊まりしていたり、スマホでやり取りするネット友達がいるなど、それなりに世相を反映しているようだ。だがドラマの内容に目を向けるとまだ、時代遅れのシーンが少なくないという。
「演出の責任でもあるのでしょうが、出演者同士が交わすセリフのやり取りがまるで演劇なのです。とくに田中裕子と小林聡美が身代金を巡って噛み合わない会話を続けるシーンは不条理劇そのもの。演技が達者な2人ゆえに見ごたえのあるシーンでもありますが、あの展開では若い視聴者はついていけないのではないか。それに、第3話時点では田中、小林、そして阿部サダヲらが織りなす人間模様が主題となっており、主演の広瀬は添え物の感が否めません。演技派の3人による人間賛歌は中高齢の視聴者にはウケるでしょうが、広瀬や瑛太目当ての若い層に刺さるのか疑問です」(前出・テレビ誌ライター)
とはいえ、ネットには「心に沁みるセリフが多い」など称賛の声が少なくない。視聴率回復は若者層をどう惹きつけるかにかかっていそうだ。
(白根麻子)