5月6日に山口達也がジャニーズ事務所から契約を解除され、メンバー4人体制が始まったTOKIO。その影響を各テレビ局が被るなかで5月9日、レギュラー番組「TOKIOカケル」(フジテレビ系)が山口レス体制のもとでは初の放送を迎えた。
同番組は4月25日の放送予定日に、山口が強制わいせつの疑いで書類送検されていたことが発覚し、その日は番組を急きょ差し替えて放送。翌週5月2日の回は画面に山口が映らない形に編集され、ファンに衝撃を与えていた。そして今回、さらに同番組への注目が高まるなか、前週同様に山口抜きの形で放送されたのである。
その見事な編集術には「まるで最初から山口がいなかったかのようだ」との声が寄せられている。その編集が可能になった陰には、いくつもの幸運があったというのだ。番組制作会社のスタッフが指摘する。
「フジテレビにとっては『TOKIOカケル』がトークバラエティだったことが一つ目の幸運でした。同番組では向かって左側に松岡昌宏と城島茂が座り、中央に陣取るゲストを挟んで右側に長瀬智也、山口、国分太一が座るという構成。番組中は各出演者が自分の席から動くことがなく、実に編集がしやすいのです。そして番組での役割は長瀬が司会者役を、松岡がツッコミ役を務め、国分がVTR進行を担当。山口は城島と共にあまりトークに絡まない役回りです。もし『Rの法則』(Eテレ)のように山口が中心となって進行する番組だったら、編集で乗り切ることは相当に困難だったはず。この役割分担が2つ目の幸運だと言えます」
そういった番組内容に加え、現代のテレビ技術がフジテレビを助けた3つ目の幸運だというのだ。番組制作会社のスタッフが続ける。
「テレビ業界では10年ほど前から『マルチカメラシステム』が導入されています。これは常に何台ものカメラを使って撮影し、複数の映像を編集でつなぎ合わせて最終的な放送に落とし込む仕組み。テレビ局にはカメラごとの映像ソースが残されているので、できるだけ山口が映りこんでいない映像を選んで再編集することが容易なのです。これがアナログ放送時代なら、実際に放送される映像しか残っていないので、そこからの再編集はほとんど不可能だったはず。過去番組のVTRでは映ってはいけない人をモザイク処理するケースが多いのですが、これも同様の理由です」
そして4つ目の幸運は、地デジ時代の高画質にあるという。
「実際に番組を観た方なら国分が不自然にアップで映っていたり、ゲストと共に映る長瀬が肩の位置でばっさり切られていたことに気づいたはず。これは二人の間に座る山口が映りこまないようにする苦肉の策ですが、かつてのアナログ放送時代ならこれほど大胆に拡大したら、画質が粗くなっていました。それがカメラの画質が大幅にアップした今では、映像の一部分を切り取ってアップにしても不自然さは少ないのです。細かく見れば時折、画質が落ちる場面もありましたが、多くの視聴者は気づかなかったことでしょう」(前出・番組制作会社スタッフ)
フジテレビでは次週、5月16日の放送分まで、今回と同様に「山口抜き」の形で放送する予定。現代のテレビ技術を知りたい方は、ぜひチャンネルを合わせてみてはいかがだろうか。
(白根麻子)