マンガ家のさくらももこさんが8月15日、乳がんにより53歳で亡くなった。27日にさくらプロダクションの公式サイトで発表され、日本全国に深い悲しみが広がっている。アニメ版を放送しているフジテレビでは9月2日放送の内容を変更し、1990年1月7日に放送されたアニメ第1話「まる子、きょうだいげんかをする」のリメイク版を放送し、原作者を追悼する。
そのアニメ版「ちびまる子ちゃん」は途中に2年半の休止を挟みつつ、延べ25年以上も放送されている老舗のアニメ番組。登場人物も多岐にわたり、主人公・まる子の家族をはじめ、アニメの公式サイトで紹介されているキャラクターは総勢98人にも及んでいる。さらに名物ナレーターのキートン山田や、誰もが知るテーマ曲「おどるポンポコリン」を歌うB.B.クィーンズらも含めれば、実に100人以上ものキャラクターが登場する壮大な世界観を展開しているのだ。
「登場キャラの数で言えば『ワンピース』や『ポケットモンスター』のほうが上ですが、『ちびまる子ちゃん』のすごさは視聴者がすぐに認識できるキャラクターだけで数十人にも及ぶこと。なかでも戸川先生を含めて計27人の『3年4組』では全員に明確なキャラ付けが施されており、小学3年生の女の子が主人公である物語に立体的な彩りを与えています。アニメや実写ドラマを問わず学園ものでは数人の主要キャラだけが目立ち、他の生徒は数合わせに過ぎないもの。それが『ちびまる子ちゃん』では3年4組全体がひとつのキャラとして成立している点は、なにより特筆すべきでしょう」(出版関係者)
たしかに公式サイトで紹介されている3年4組の顔ぶれを見ると、たまちゃんや花輪クン、丸尾君、はまじ、ブー太郎、永沢、藤木、みぎわさんなど、名前を聞いただけで顔が思い浮かぶキャラばかり。作品で描かれているのは作者のさくらさんが実際に過ごしていた小学生時代であり、それだけに思い入れも深いのであろう。そんな登場人物の中には意外にも、アニメ版の途中から参加したキャラもいるという。
「大食いキャラの小杉やダークキャラの野口さんは、アニメ開始後の1993年にさくらさんが連載を始めたスピンアウト作品『永沢君』の登場人物で、そこからアニメ版に逆輸入された形。そんな彼らも今ではすっかり『ちびまる子ちゃん』の主要キャラとして活躍しており、さくらさんがいかに数多くのキャラに息吹を与えてきたのかを実感します。そんな3年4組には善人ばかりではなく、人をねたんだりウソをついたりと、ネガティブな面を持つ生徒もいる。それゆえ視聴者が、自分が小学生だった時そのままだと思わせるリアリティを感じることができるのでしょう」(前出・出版関係者)
子供から大人まで幅広い支持を受けている「ちびまる子ちゃん」。そんな世界観を遺してくれたさくらさんのご冥福をお祈りしたい。
(白根麻子)