人気韓流グループの「BTS」(防弾少年団)に文化勲章の授与が決まった。韓国大統領府が10月8日に発表したもので、世界の若者に対して韓流やハングルを広めたことが評価されたという。そのBTSはアジアのみならず、欧米でもティーンを中心に人気を誇っている。米ビルボードの「ワールドアルバムチャート」ではアイルランドやカナダのアーティストを抑えて、アルバム「LOVE YOURSELF 結 ‘Answer’」が1位を獲得。現在はアメリカ6都市を含む欧米を回るワールドツアーの真っ最中だ。
「いまや韓流アイドルはアメリカ人ティーンに音楽ジャンルの一つとしてしっかりと認識されています。アジア流のきっちりと練り込まれたフォーメーションダンスは欧米の若者には新鮮ですし、楽曲も英語の歌詞を取り入れ、聴きやすいのが特徴。そもそも国内市場の小さい韓流では当初から日本や中国などアジア圏をターゲットにしていましたが、近年は欧米市場への進出にも積極的。BTSでもメンバーのRMが英語をマスターしており、日本進出時と同様に現地の言葉を学ぶことで海外での成功を呼び込んでいます」(音楽ライター)
そんな韓流アイドルに対して日本勢の事情はどうなのか。女性アイドルはAKB48が次々と海外グループを結成しているほか、ライブアイドルが海外のイベントでライブを行う姿は珍しくない。しかし男性アイドルでは業界トップのジャニーズでさえ、海外にはほとんど目を向けていないのが実情だ。
「先月には関ジャニ∞が台湾公演を行うなどアジアには多少進出しているものの、単発公演に過ぎないのが現状。そもそも活動歴16年の関ジャニ∞が今年になってやっと初の海外公演というのが現実です。日本の芸能界は昔から国内志向というか鎖国同然ですが、なかでもジャニーズはネットにも後ろ向きでしたし、コントロールの効かない海外市場には興味がないのでしょう。海外だと古くはビートルズへの勲章授与も話題になりましたし、イギリスではエルトン・ジョンやエリック・クラプトン、ボノらが大英帝国勲章を受章。カナダではラッシュやセリーヌ・ディオンらがカナダ勲章を授与されており、これらの受章理由は『自国の文化を海外に広めた』ことが大きく評価されています。その点で海外に目が向いていないジャニーズは、将来にわたって勲章とは無縁かもしれません」(前出・音楽ライター)
アーティストに勲章が必須なわけではないが、まったく無縁というのもなんとも寂しい話かもしれない。
(金田麻有)