ジャニーズの中でA.B.C-Zほど苦労を重ねたグループはいない。5人のうち河合郁人、五関晃一、戸塚祥太、塚田僚一の4人が、10年以上のジャニーズJr.歴の末にやっとのことでデビューにこぎつけている。
このままメジャーデビューすることなく、舞台俳優としての道を歩むことになるのか…そんなことがささやかれるようになったころ、不安をかき消したのは08年に最年少でグループに加入した橋本良亮だ。振り返れば橋本は、事務所に入所した04年から寵愛されていた。アイドル誌のライターが振り返る。
「橋本は、小学校4年生で入所。Jr.のなかでも年少だったので、ジャニーさんに直接、車で家まで送ってもらっています。車内でアニメ『忍たま乱太郎』が流れていて、はっしーが後部座席で無邪気に歌っていると、『YOUさ、歌好きなの?』と聞かれ、『好きです』と返すと、『じゃあさ、今からレコーディングしに行こう』と、その足でスタジオに連れていかれました。スタジオでは、NEWSのシングル『チェリッシュ』を録音。翌日、『ザ少年倶楽部』(NHK BSプレミアム)の収録のため、東京・渋谷のNHKホールに来るよう指示されました」
05年5月、無名のド新人Jr.だった橋本がピンでマイクを握り、歌唱している模様がオンエアされている。小学生にしてJ.J.Express、TOP3といったJr.内ユニットに加入したため、Hey!Say!JUMPのメンバーに選出されると誰もが信じて疑わなかった。ところが、まさかの落選。その後、08年に4人組だった「A.B.C」に加わって、「A.B.C-Z」となった。
「ところがこのとき、ひと悶着あったようです。すでにNEWS、テゴマスとして活動していた手越祐也と増田貴久を、A.B.Cのメインボーカリストとして招き入れようというプランがあったんです。実際に河合は、横浜アリーナ公演の際に、ジャニーさんからこのことを打ち明けられている。ジャニーさん的には、本格的に歌える者を加えたかった。浮かんだのが、圧倒的な歌唱力を持っていたテゴマスだったんです」(前出・アイドル誌ライター)
もし実現していたら、手越と増田は3グループの掛け持ちとなっていた。かつて錦戸亮と内博貴が、関ジャニ∞とNEWSの2グループで活動し心身ともに疲弊しているが(※錦戸はNEWSを、内は両グループを脱退)、危うく同じ轍を踏むところだった。
今年は、昨年いっぱいで芸能界を引退した滝沢秀明が、タレント育成に回る。タレントの渋滞・不平不満が爆発しないよう、タッキーの手腕が試されることになるだろう。
(北村ともこ)