ピン芸人の日本一を決める「R-1ぐらんぷり2019」(フジテレビ系)決勝戦が3月10日に開催され、観覧客の過剰なリアクションに賛否両論が巻き起こっている。
薄毛ネタからサイレント漫談、さらにはフリップ芸まで、様々な個性派が出揃った今大会だが、見事頂点に輝いたのはそのフリップ芸で手数重視のネタをお披露目した霜降り明星の粗品となり、昨年末のM-1グランプリ制覇に続く前代未聞の2冠を達成。26歳2カ月という若さでのR-1制覇は歴代最年少記録であり、“ピンでもコンビでもNo.1”という栄えあるお墨付きを得た格好となる。
しかし、芸人がネタを披露している最中に観客席を飛び交った“過剰なリアクション”をめぐっては、SNS上で物議を醸している。お笑いタレントの松本人志が「R-1の客。。。」との意味深なつぶやきをツイートすると、同じく芸人のキートンも「やっぱり、賞レースでのテレビ観覧客の過剰な反応は邪魔ですな。おもしろい時に笑うだけでいい。全員おもしろいネタをやったんだからさ」とクレーム。さらには歌手のきゃりーぱみゅぱみゅも「お笑い番組で悲鳴出さないでほしいなあ」とR-1に向けたものと思われるつぶやきを投稿した。
「R-1に限らず、M-1でもそうでしたが、芸人サイドが観覧客のリアクションにクレームを入れるケースが増えています。しかし、観覧客からすれば、収録前の前説段階で番組側から盛り上がるように指示されることもあり、ネット上にも番組観覧の経験者によるコメントとして『“リアクションしないで見てるだけ、っていうのは絶対にやめて下さい”とか(番組側から)言われます』や『すんげー(笑う)練習させられた』との証言があります。中には『実際観覧行ってみると、目が笑ってないADがわざとらしく大声あげて笑うフリしてたりするよ』という“身内による工作”を指摘する声も。また、悲鳴に関しても、実際に岡野陽一が生の鶏肉に風船を付けて空に帰し、供養してあげるという奇怪なネタに対する反応であり、ある意味で“爆笑”よりも“悲鳴”を想定していたかのようなネタです。引かれてしまうのも無理はないでしょう」(テレビ誌ライター)
スーパーマラドーナの武智やとろサーモンの久保田かずのぶによるM-1審査員に対する暴言騒動は記憶に新しいが、笑いの基準とは十人十色であり、それに対して外野がとやかく注文を付けるというのはお門違いとも言える。過剰なリアクションを煽る制作サイドによる指示があったのかは定かでないものの、大会の良し悪しに関して、観覧客を責める風潮はいかがなものだろうか。
(木村慎吾)