次々とショッキングな場面が映し出されることでも話題のドラマ「あなたの番です」(日本テレビ系)にて、名女優の木村多江が見せた鬼気迫る演技に、多くの視聴者が鳥肌を立てたという。
7月28日放送の第14話にて木村は、勾留中の独房内で枕から取り出した綿を次々と飲み込み、自死を決行。窒息状態でのたうち回る姿を見た警察官により救出されるものの、視聴者からは〈白目を剥いて倒れる場面がリアルすぎる!〉といった感想が漏れ伝わっていた。その一方で、〈綿なんていくら食べたって死なないだろう〉との冷めた見方もあるようだが、女性誌のライターはその声を否定する。
「綿を食べた結果、死に至るという事故は、数年前にアメリカで続発しました。その原因は“コットンボールダイエット”という危険な痩身法で、これは食事の前にジュースやミルクに浸した綿の球をいくつか飲み込むことで満腹感を得るというもの。エディ・マーフィーの娘でモデルのブリア・マーフィーがこの方法を実践していることを認め、ティーンを中心に流行したのです。しかし綿は胃酸にも溶けない丈夫な素材のため、飲み込んだ綿が詰まって腸閉塞など重篤な症状を引き起こすケースも発生。また吐き戻した綿が気道をふさいで窒息するケースもあり、アメリカでは医師が《絶対に試してはいけない》と警告を発していたのです。その甲斐あってか現在ではすっかり下火になりましたが、日本にはアメリカの流行が数年遅れで入ってくることもあるので、まだ予断を許さない状況と言えるでしょう」
ただし、木村が劇中で再現した手法は、実際には実行不可能だという。女性誌ライターが続ける。
「前述のようにコットンボールダイエットは、綿をジュースなどの液体に浸して飲み込むもの。それに対して『あなたの番です』での木村は、綿そのものを飲み込もうとしていました。これでは綿が唾液を吸ってしまい、飲み込めるのはせいぜい最初の一切れか二切れだけ。それ以上は飲み込みたくても嚥下作用が働かず、喉を通らないでしょう。その意味でドラマでの自死シーンはフェイクだったのですが、乾いた口に無理やり綿を詰め込み続ければ、やはり窒息を招く恐れは十分にあります。ともあれ綿を口にすることは百害あって一利なしなので、絶対に真似していけないことに変わりはありません」
今回のシーンはあくまで、木村の達者な演技に感心するものとして受け止めるべきなのかもしれない。
(白根麻子)