本格的な暑さがやってくると、紫外線や熱中症から子どもを守る工夫が必要になります。でも、具体的にどうしたらいいのか……。そこで、紫外線との付き合い方と熱中症対策について、楽天ママ割主催の『ママの学校』に登壇されていた、順天堂大学医学部附属練馬病院整形外科准教授の坂本優子さんと、慶應義塾大学 SFC 研究所上席所員(健康情報コンソーシアムメンバー)の本田由佳さんにお話をうかがいました。
■紫外線=悪者ではない
坂本さんは、「昨今、紫外線の悪影響についてメディアで大きく取り上げられるようになり、日本でも紫外線対策に取り組む人が増えています。一方で、骨を強くしたり、免疫力を高めるビタミンDを体内で生成したりするには、適度に紫外線を浴びることが必要だ」といいます。
また、「骨を強くするカルシウムの吸収をサポートするのもビタミンD。近頃は紫外線を悪者扱いするあまり、ビタミンDが不足し、骨がもろくなってしまう人が増えている」ともいいます。
他にも、「ビタミンDが極端に不足すると、自閉症や注意欠損多動性障害、認知症などを患うリスクが高くなり、妊娠中のママが紫外線にあたらずビタミンD不足になると、お腹の赤ちゃんの骨にも影響が出る可能性がある」ようで、そのための対策が必要といえそうです。
ビタミンD不足を防ぐには、適度な紫外線を浴びることに加え、ビタミンDが豊富なさば缶やサケ、シラス、卵黄、牛乳、干し椎茸などを食事で取り入れることが大切なんだとか。さらに、運動を上手に取り入れることで、骨を強くすることができるそうですよ。
■子どもを守る熱中症対策
骨を丈夫にするために紫外線が重要とはいえ、夏に外で運動をすると熱中症を起こす危険性があります。本田さんいわく、「子どもは、体温調整機能などが未発達のため、体に必要な水分を失いやすい傾向があります。子どもやベビーカーに乗る赤ちゃんは大人よりも体と地面との距離が近いため、大人が感じているよりも強く暑さを感じる」そうで、「体内の水分や塩分などのミネラルバランスが崩れると脱水症状を起こしやすく、熱中症を起こす可能性を高める」とか。「脱水を予防する ためには、食事や水分、睡眠を十分取り、環境省の熱中症予防情報サイトで公開されている『暑さ指数(WBGT)』などの情報をお出かけ前にチェックする習慣をつけることが大切」なんだそうですよ。
脱水になると、尿の量が減って色が濃くなるため、トイレで脱水のチェックが可能。他にも、子どもが不機嫌になる、涙の量が少ない、熱があるのに汗をかかない、などの症状は脱水のサインでもあるようです。子どもの様子をよく観察しながら、喉が乾く前にこまめに水分補給をすることが大切といえそうですね。水分補給には、失われた水分だけでなく、塩分などのミネラル、適量のブドウ糖をバランスよく素早く補給することができる経口補水液がオススメだそうです。
紫外線は危険だからと完全に避けてしまうと、子どもの心や体の成長を妨げてしまう可能性があるため、正しい知識をもって水分補給や食事の工夫をしたいもの。そして、適度に休憩や水分補給を取り入れながら外で体を動かし、たっぷり睡眠を取れるようにすること。子どもの様子の変化をすぐに察知できるようにしながら、ぜひ近くでサポートしてあげてくださいね。
(Nao Kiyota)