よもやの“ネタ被り”が勃発した。お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志と爆笑問題の太田光が8月18日、それぞれMCを務める「ワイドナショー」(フジテレビ系)と「サンデー・ジャポン」(TBS系)に出演し、茨城県常磐自動車道で起きたあおり運転殴打事件に言及している。
先週末の各報道番組やワイドショーでは、高速道路で走行中の自動車が強制的に停止させられ、運転手の顔面が複数回にわたって殴打されたあおり運転事件と並んで、人気アニメ「それいけ!アンパンマン」の演出である“アンパンチ”による悪役の退治シーンが暴力的ではないか、という“アンパンチ論争”がメインで扱われることが多く、それは18日放送の「ワイドナショー」と「サンデー・ジャポン」も同様であった。
まず、松本人志は「ワイドナショー」にて、高速道路で車を降りるや否や被害者の元へ駆け寄り、顔面を複数回殴打した犯人について「5発も殴るって…。言う人に言わせたら“アンパンマン”の見過ぎって(なるのだろうか)」と“アンパンチ論争”と絡めてコメント。スタジオからは笑いが溢れたが、ほぼ同時刻にTBSで生放送されていた「サンデー・ジャポン」でも全く同じ趣旨のいじりコメントが成されていたのだ。
犯人が被害者の運転手に対し、無慈悲なパンチを繰り返していたことから、太田もまた「このあおりの犯人も“アンパンマン”を観ていたのでしょうか」と発言。「アンパンマン」が劇中で繰り広げる、暴力を駆使することで悪役を撃退するという演出が乳幼児や幼少期の「子供たちに悪影響を与えるのでは?」という一部からのクレームと、あおり運転による殴打事件を絡めたシニカルなコメントは、松本人志のそれと非常に似通ったものとなった。
「芸歴も近く、お笑いの世界における立場や影響力も近い松本人志と太田光がそれぞれMCを務める『ワイドナショー』と『サンジャポ』は、今や日曜朝にしのぎを削り合う2大巨頭です。前者は生放送ではなく数日前の収録を編集して放送する形式ではありますが、同じ放送時間に同じ類いの“いじりコメント”を発したことは2人にとっては赤面レベルかもしれません。彼らのような一流の芸人にとって、ネタの被りが小っ恥ずかしいものであるだけでなく、同時刻に放送される裏番組同士ですからね。松本と太田は普段、凄惨な事件やタレントの不祥事が起きた際には正反対のコメントを出し、角度の異なる独自の解析で対照的な考え方を持っていただけに、今回のあおり運転とアンパンチを絡めた“丸かぶり”は稀有なひと幕だったと言えるでしょう」(テレビ誌ライター)
本人たちが望むかは定かでないものの、松本人志と太田光は案外似通ったネタの発想を有していたのかもしれない。
(木村慎吾)