映画界のトレンドが軌道に乗り続けているなか、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズは人気コミックの実写化だけでなく、巨大アニメーションスタジオが誇る膨大な名作のアーカイブを再び“超実写化”することで、天文学的な興行収入を荒稼ぎしている。
2017年に「美女と野獣」が世界で12億ドルを超える特大のメガヒットを記録したことを皮切りに、その後も「アラジン」や「ライオン・キング」の実写化でボックスオフィスを牛耳ると、2020年には“ディズニー史上最強”のヒロインを描いたファンタジー「ムーラン」が春に公開を予定。病んだ父親の代わりに男装をすることで入隊し、戦乱の世を生き抜く女戦士ファ・ムーランの活躍を描いたアクション大作で、主人公のムーラン役には1000人以上の候補から中国系アメリカ人女優のリウ・イーフェイが抜擢された。
また、皇帝役に同国のレジェンドとして君臨するアクションスターのジェット・リーが、そして実写版オリジナルの登場キャラであるタン司令官にはドニー・イェンがそれぞれ配され、経験豊富な中国系のスターが脇を固めている。
「同作は2020年の夏に公開を予定していますが、中国を舞台にした壮大な物語で、キャストも中国が世界に誇るスターを複数抜擢していることから、今や世界でもトップクラスの映画市場として期待される中国国内でとてつもない記録的なヒットを見込まれています。中国政府の検閲の厳しさから、劇中で中国を揶揄するような内容があった場合には、この巨大過ぎる市場での上映が禁止されてしまうケースも多いですが、無事に中国での公開が許されれば、爆発的な大ヒットとなるでしょう。なんといっても2019年の上半期には中国国内での映画市場は累計で4730億円を超えたと同国メディア『猫眼票房』が発表しました。これはアメリカ以外の国の市場としてズバ抜けており、今春に世界でヒットした『アベンジャーズ エンドゲーム』も日本では約60億円の興収だったのに対して、中国国内では640億円以上もの興収を記録していますからね。ディズニーが中国へ捧ぐ超大作の『ムーラン』が一体どれほどの興収を達成するのかは大変興味深いです」(映画誌ライター)
中国映画界では、18年のタイムラグを経て、スタジオジブリのNo.1ヒット作「千と千尋の神隠し」が6月より公開され、興収78億円の大ヒットとなり、日本アニメ映画としては中国国内で歴代3位の好成績を打ち立てたことが話題となった。異例の大ヒットをうけ、ジブリの代表取締役である鈴木敏夫氏が中国語での直筆メッセージを寄せるなど、今や中国は映画界において“モテモテ”状態が続いている。
特大ヒットが期待される「ムーラン」と共に、多くの話題作が続々とリリースされる2020年。映画館での迫力は唯一無二の至福であり、是非とも劇場へ足を運ぶことをオススメしたい。
(木村慎吾)