冬になって気温が下がると、「冷え」を感じるようになりますよね。冷えは免疫力や代謝を低下させ、不調や太りやすさを招くために注意が必要です。そこで、サーモセルクリニックの奴久妻智代子さんに、冷え性の原因と正しい対策をうかがいました。
奴久妻さんは、冷えを感じる大きな原因は「血流が悪くなることにある」といいます。血行不良は、気温の低下だけではなく、室内外の寒暖差による自律神経の乱れや、運動不足による筋肉量の低下によっても起こりやすいそうです。
冷え性の中でもとくに20~30代の若い女性は、食が細かったり、月経があることから貧血気味になりがちだったりするため、手足(末梢)が冷えやすい傾向にあるのだとか。貧血になると、赤血球の数が少なくなって十分な熱エネルギーをつくることが難しくなりますが、深部体温だけは適温である37度前後に維持するように働くため、表面の血流が滞って手足に冷えを感じるそうです。
ちなみに、次のチェックリストに当てはまる人は、末端冷え性の可能性があるそうです。
□食が細い・ダイエット中
□痩せ型である
□貧血気味
□筋肉が少ない(運動量が少ない)
□あまり汗をかかない
□日常的に肩こりや頭痛がある
□寝つきが悪い
また、冷えた体を温めるためにホットドリンクを飲むことがありますが、それだけでは一過性で、体内はあまり温まらないとか。さらに、お茶やコーヒーを選ぶと、含まれているカフェインに血管を収縮させる作用があるため、冷えの原因になってしまうこともあるそう。そうならないようにするため、飲み物以外の対策を取り入れたうえで、温かい飲み物で体内を温める場合は「カフェインゼロのお茶」を選ぶことがオススメなんだそうですよ。
その原因を考えると、冷え性には「血行改善」が重要といえます。自宅と職場でできる、冷え対策のポイントを奴久妻さんに教えていただきました。
■自宅編
自宅での冷え性対策にオススメなのは「全身浴」。シャワーは一時的に体表面は温かくなりますが、深部体温は上がらないといいます。全身浴は熱の伝導率が高く、汗をかいても蒸散しないため、深部を効率よく温めてくれるそう。他にも、全身浴は水の圧力によって足の方に溜まった静脈血が心臓に戻りやすくなる特徴があるので、全身の血流を改善するという作用もあるそうです。
でも、熱過ぎるお湯に浸かると血管が収縮してしまい、かえって深部体温が下がるため、全身浴の湯温は「ぬるめ」で「10分程度」がオススメ。冬場は41度がベストだそうです。熱が逃げないように手足も肩もしっかり浸かり、深部と末端の体温が同じくらいになるのに必要な10分間を目安にリラックしましょう。その際、脱水を起こさないよう、入浴前に水分補給は必ず行いましょう。
■職場編
オフィスでは、デスクに向かっている時間が長いと、血流が悪くなりやすくなるそう。そのため、「手足を握って開く」を繰り返す、股関節を広げるストレッチ、大きな足踏みなどで、体を動かす時間を1時間に1回ほどつくるのがよいそうです。オフィスビルでは、トイレに行く際、1つ上の階に階段で行くのもいいですね。
外出時は、手首や足首、首を外気にさらさず温める意識が大切で、とくに首は太い血管が皮膚に近いところにあって冷えやすいので、マフラーなどで熱を逃がさないようにすることが大切です。
冬場は上着やマフラー、手袋での防寒対策だけでなく、しっかり全身を動かして血行をよくすることも大切。オフィスでも体を動かす習慣をつくり、帰宅後は全身浴で体内を温めて、冷えや不調知らずの体質に整えましょう。これから寒さがますます本格化しますから、ぜひ参考にしてくださいね。
(美容・健康ライター Nao Kiyota)