新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くのアーティストがコンサートやライブイベントの中止・延期を余儀なくされる中、シンガーソングライターの椎名林檎がボーカルを務める5人組バンド「東京事変」は2月29日、3月1日にコンサートを予定通り決行し注目を集めた。
両日とも、会場となった東京国際フォーラムは大行列となったが、新聞各紙によると、会場スタッフはマスクに手袋という姿。入口には検温やアルコール消毒への協力を呼びかける案内が貼られ、ライブ終了後もスタッフは会場を後にする観客に消毒を促していたという。
また、ライブで椎名林檎らメンバーは、コロナウイルスについて触れることはなかったそうだ。
「感染リスクなどを考慮して来場を辞退するチケット購入者には払い戻しに応じるとされていましたが、会場はほぼ満員の状態で、払い戻ししたファンは少数だったようですね。東京事変は2012年2月29日に解散後、2度目のうるう年にあたるこの日に復活ライブを行うことが、バンドとしてもファンにしても大きな意味があった。数多くのアーティストが中止・延期を選択する折から、大きな批判を浴びるリスクが高い中でのギリギリの判断だったと思います」(音楽誌ライター)
来場したファンからは「毎日コロナウイルスの話題ばかりで気持ちが落ち込んでいたけど、ライブで元気をもらえました」「ライブに参戦すべきかどうか迷ったけど、来て良かった」など感激の声が多いが、世間一般からは感染拡大を懸念する声が圧倒的だ。
3月1日に放送された「サンデー・ジャポン」(TBS系)では、出演したメイプル超合金のカズレーザーが「そこ(コンサート会場)で感染が広がって経済的損失が生まれた時に、その批判に耐えられる体力と、批判が起きても離れないファンがいるのなら、イベントを開催してもいいと思う」と語るなど、リスク覚悟のアーティストの決断に一定の理解を示す意見も上がっている。
東京事変のツアーは今後、3月6・7日大阪フェスティバルホール、14・15日仙台サンプラザホール、21日札幌文化芸術劇場、28日福岡サンパレスホテル&ホール、4月4・5日名古屋国際会議場センチュリーホール、8日NHKホールと全国を巡る。こちらも予定通り開催できるのだろうか。
(石見剣)