お笑いコンビ・ミルクボーイの駒場孝と内海崇が文春オンラインの取材に応じ、今後も大阪を拠点にしながら活動を続けていく意向を示している。
「オカンが名前を忘れた朝食があんねんけど…」のお決まりフレーズから始まる“行ったり来たり漫才”が大ウケし、2019年度のM-1グランプリを完全制覇したミルクボーイ。これまで大阪の小さな舞台で細々と活動してきた彼らには、東京進出という知名度アップに向けた最高の“出世ルート”が待っているが、本人たちにその意思はなく、内海は「いや、(東京には)もう行かないです」と断言し、その理由として「僕らは漫才しかやりたいことがなかったんで。漫才するのにどっちがええかと考えたら、大阪にはNGKなどの大きな劇場もありますし、こっちにおった方がええやろうと」と説明した。
同メディアからの「収入を考えたら、東京の方がぜんぜんいいと聞きますが」という質問には、「別にお金が欲しいとかもないんですよ」と内海が話すと、駒場も「(M-1)優勝賞金で、今まで渡せんかった後輩の結婚祝いやら出産祝いを渡せたら、それでひとまずはええな、と」とこれに同調。大阪で成り上がった大半の芸人が次なるステージとして東京への進出を夢見る中、漫才への飽くなき向上心を目標に掲げることとなった2人だが、内海は「僕たち、変ですか?」とも話し、様々な意味においてミルクボーイが他の芸人とは一線を画す存在であることを窺わせている。
「お金と知名度、さらには“笑いの全国統一”を叶えるべく、これまでにも様々な芸人が大阪から東京へ進出してきましたが、ミルクボーイの2人がそこにさして魅力を感じなかったのは、バラエティ番組におけるフリートークへの適応に少々手こずっている印象があるのかもしれません。昨今のバラエティ番組ではMCと出演芸人による親密な関係性を前提に置いた身内ネタの応酬が多く、プライベートの暴露話などで盛り上がるシーンはよく見受けられる光景。しかし、大阪で活動していたミルクボーイは漫才の精度を高めるために仲間や先輩からの飲みの誘いも断って稽古に明け暮れてきたからか、MCからすると現状では“イジる材料”に欠けてしまい、密な絡みが披露される回数は決して多くありませんでした。一方、ここ数年で本格的に東京への進出を果たした大阪出身の吉本興業所属コンビには、かまいたちやダイアンなどがいますが、東京の先輩芸人から私生活でも可愛がられていた強みを生かし、“イジりイジられ”の場面でそれらが十分に発揮されています。つまり、東京でのフリートークを磨くにはまずはこうした人間関係における下地を固めていく必要もあるのでしょうが、漫才職人でもあるミルクボーイはそうした時間よりも新作漫才を考案している方が肌に合っていると感じたのかもしれません」(テレビ誌ライター)
また、経済的な事情についても、2人の公式YouTubeチャンネルが“大繁盛”を見せており、最近では眠りにつく前に視聴するための「おやすみミルクボーイ」も好評。チャンネル登録者は18万人を超え、YouTubeだけでも月に400万円ほどの広告収入が見込まれている。
「もう、東京には行かないです」と言い切り、大阪残留を明言した内海と、隣でそれに同調する駒場の足並みの揃ったコンビ間の関係性もまた、2人が温かい支持を受け続ける理由のひとつなのだろう。
(木村慎吾)