男子フィギュアスケートは、昨シーズンに続き今シーズンも主要な世界大会の金銀メダルはブライアン・オーサーコーチの門下、羽生結弦、ハビエル・フェルナンデスの両選手が交互に獲る結果となった。どちらが勝っても嬉しいことだとは思うが、それなりに悩みもあるようだ。
コーチは、公式練習はもちろん、6分間練習や直前まで自分の選手の様子を細かに見て緊張をほぐし、最後のブレを修正するために的確なアドバイスを送るのが仕事だ。しかし、今回の羽生選手の試合ではそれがうまく機能しなかった。
「オーサーコーチが試合後の談話で『羽生は練習の時から緊張していた。フェルナンデスと羽生の2人を同時に気に掛けるのは少し難しかった』と言っていました。オーサーにしてみたら、自分がかかりきりでケアできれば羽生を優勝に導くことも可能だったという思いがあるのかもしれません。コーチが複数の選手を見ることはよくありますが、ここまでのトップ選手で実力が拮抗する2人を見ている例はあまりありません。しかも、最終グループに2人とも残っているということは、もっとも大事な最後の6分間練習で1人の選手に注視できないということです。フェルナンデスはかかとをケガしていて公式練習も十分にできなかったといわれます。今回はそんなフェルナンデスが気がかりで、羽生選手に必要な指示を出せなかったのかもしれません」(スポーツ紙記者)
どんなに名コーチでも、2人に金メダルを獲らせることはできないのだ。
(芝公子)