新型コロナウイルスの感染拡大で医療崩壊が懸念される中、治療の最前線に立つ医療従事者にエールを送るムーブメントが沸き起こっている。ところが、医療従事者の家族を持つ男性から、本サイトに信じがたい情報がもたらされた。
男性は「私の母と妹が看護師なのですが、コロナウイルスによる医療従事者に対する差別や偏見があり、大変悲しい思いをしています。今や医療従事者だけでなく、その家族まで差別を受けております」と吐露。「感染の恐怖に怯えながら、必死にコロナウイルスと戦う医療従事者に対しての差別や偏見は、断じて許されません」と怒りをにじませた。
男性は「医療従事者に対する差別や偏見について」と題して、YouTubeに実名で動画を投稿。その中でも、内科のクリニックに勤務する男性の母親が診察券を渡す際、一部の心ない患者から「触らないでよ!」などの暴言を吐かれたこと、大学病院で看護師をしている妹も、日々感染リスクと闘いながら大変な思いをして働いていることを訴えている。
作家でミュージシャンの辻仁成も4月24日更新のブログで、コロナ差別に警鐘を鳴らした。辻は看護師の親戚が子供と公園で遊んでいたら、感染リスクを恐れた近所の主婦から「ここに来ないでもらえますか」と、親戚がコロナ差別を受けたことを告白。その主婦に対して辻は「コロナは人を選ばない。その時、あなたは誰に助けてもらうつもり? 看護師さんの世話にはならないつもり?」と問いかけ、「医者や看護師さんが頑張ってるのは日本を救いたいという強い使命感からだ。『ここに来ないでもらえますか』は、全国の医療関係者へ向けた悪魔の侮辱であり、責務を果たそうとしている人たちの意思をへし折る悪魔の言葉だ」と断じた。
「医療資源も底をつこうとしている中、リスクをおして最前線で奮闘する医療従事者への差別はあってはならないこと。ですが、頻発する院内感染のニュースも、医療従事者差別に拍車をかけているようです。新型コロナウイルスの怖さが周知され、誰もかかりたくないのは当然。細心の注意は払うべきです。ただこの状況下、いつ自分や家族がキャリアになるかわからない。その命を守ってくれるのは他でもない、医療従事者です。それを考えれば、医療に携わる人やその家族に偏見をもったり差別することなど、できるはずもありません」(医療系ライター)
医療従事者にかけるべきは「触らないで」ではなく「ありがとう」の一言だ。
(石田英明)