恋愛リアリティー番組「テラスハウス」(フジテレビ系)に出演していたプロレスラーの木村花さんが自ら命を絶ったのは5月23日。7月2日発売の週刊文春は、花さんの母・響子さんが同番組で起きた「コスチューム事件」でのやらせを告発している。
男性共演者の小林快さんが花さんの試合用コスチュームを洗濯乾燥機で誤って洗い、縮んで装着できなくなり、花さんが激怒した事件。それをきっかけにネットで大炎上したのだが、その際、花さんは番組スタッフから小林さんに「ビンタしろ」と指示されていたことを響子さんが公開したのだ。
この告発に対し、フジテレビの遠藤龍之介社長と大多亮常務は7月3日、本社で行われた会見で完全否定。「出演者へのお願いや提案はあったものの、感情表現を捻じ曲げるような指示は出していない」と断言している。
ところが9日発売の同誌では、一方の当事者である小林快さんが、スタッフから“やらせ”の指示があったことを証言。小林さんと花さんがトランポリン専用のアミューズメント施設に出かけたシーンでは、小林さんが番組ADから「胸とか触ったら」と指示されたことを暴露している。当然、小林さんにそんな場面で胸を触りたいという思いはなく、拒否。だが、“感情を捻じ曲げるような指示”はこれに留まらなかったという。
「こうした悪質な演出が、花さんの死までに明らかにならなかったのが残念です。思い起こせば、フジの遠藤社長は2019年10月25日に行われた定例会見で、こんなことを言っていました。他局でやらせ演出などが発覚したことについて『私どもも引き締めないといけない』とコメント。『自局でトラブルがあれば当然再発防止対策などを取っていく』とも語っていました。果たして本当に気を引き締めたのか、疑問が残ります。トラブルがあっても否定するだけで、第三者委員会の設置や有効な再発防止策なども出てこない。今となれば、実のない口先だけの発言と言われても仕方がないでしょう」(テレビ誌ライター)
響子さんは、フジテレビサイドの面会要請を拒絶、徹底抗戦の構えだという。太多亮氏らの時代が築いた「楽しくなければテレビじゃない」の価値観は、もはや通用しない。
(石田英明)