葬儀では故人との最期のお別れがありますが、もし自分や家族だったとしたら、できるだけ美しくきれいな状態で見届けてもらいたいですよね。
実は、すでに“きれいな”状態にする技術があります。それは「エンバーミング」というもので、故人の顔つきや表情を生前元気だった頃の姿に近づけることができるんです。海外では防腐、細菌・ウイルスなどの感染防御にも効果がある技術として、一般に普及しているそうです。
一般社団法人日本遺体衛生保全協会が2020年3月に実施したアンケート調査では、葬儀で故人の顔を見たとき、生前元気だった頃とのギャップを感じた人が多かったようです。直近の参列で「故人の顔と生前の顔を比べて、表情や顔つきに違いを感じましたか?」との問いに対して、66%が「感じた」と回答していました。
具体的には、「表情が硬く、生前の柔和な印象が感じられなくなっていた」(72歳・男性)、「硬直により表情がゆがんでみえた」(73歳・男性)、「闘病でやつれてしまったうえに、血色も感じられないので、違う人のようだった」(32歳・女性)、「薬の副作用で、顔色が紫にみえるほど膨張していて、とてもショッキングだった」(58歳・女性)などの声が挙がっていました。
この結果から考えれば、修復や化粧で生前の安らかな顔に近づけることのできるエンバーミングは、故人の家族や近しい人々にとって大きな意味を持つと考えられます。日本での認知度はまだそれほど高くないですが、日本遺体衛生保全協会によると、近年では家族葬の増加などを背景に、エンバーミングの処置件数も増加傾向にあるそうです。
誰もが迎えなければならない最期の日に向け、エンバーミングを施してもらいたいと周囲に伝えておくことで、我が身をきれいな状態で送り出してもらえるかもしれません。