元サッカー日本代表MF本田圭佑が2月26日までに自身のツイッターアカウントを更新し、ロシアによる軍事侵攻の真っ只中にあるウクライナのゼレンスキー大統領について言及した。
2010年から2013年までの3年間、ロシアのCSKAモスクワで主力選手としてプレーした経験を持つ本田は、今回の同国によるウクライナ侵攻について、たびたびSNS上で持論を展開してきた。一貫して本田が懸念を示すのが、ロシア・プーチン大統領の“本気度”であり、同時に、それに対するウクライナ側の対応への疑問である。
ロシア側は、ウクライナのNATO加盟に強く反対する意向を示してきたが、ウクライナがその要請に応じてこなかったことから侵攻を開始。本田はロシアの攻撃が始まる前から「プーチン大統領の記者会見を見たけど、もうウクライナがNATOへの参加拒否するしかないなという感想。僕が知ってるロシアのリーダーってのはここからの交渉は一切通用しない。『解決のために窓口は開いてる』というのはウクライナがNATOへ参加しないという1択しか受け付けない窓口やと思ってる」とツイートし、ウクライナがロシアの要求に応じるべきだと主張していた。
その後、同24日にロシアの侵攻が始まると、「戦争が始まった。人が死ぬ。子供も死ぬ。もう他人事じゃない。日本だっていつまでも安全かなんてわからない。今後は中国がどうでるか」と投稿し、日本も決して対岸の火事ではないとの見解を示した。
そして25日、侵攻を受けていたウクライナ側が「停戦について協議する準備がある」と発表したことに関し、本田は「最初から協議を申し出てたら余計な犠牲者は出なかったかもしれない」と主張。続けて、「独立を守ることとNATOに加盟することはイコールではない。ウクライナ大統領の判断に疑問を感じる。これから協議に入るのならこの数日に出た犠牲者はなんやったのか」「プーチン大統領は世界中から悪者にされるのを百も承知で意思決定した。その覚悟の怖さをもっと警戒するべき」「アメリカやヨーロッパ諸国がなんだかんだで(ロシアのウクライナ侵攻に対して)様子見なのはわかってたはず」などと綴り、ゼレンスキー大統領の姿勢を疑問視した。また、「もう何を言っても犠牲者は戻ってこんけど、これ以上の戦争は泥沼化するだけ」と語ると、「Stop the war」とも投稿している。
「本田は、ロシアリーグでプレーする初めての日本人選手となり、CSKAモスクワに6シーズンぶりのリーグタイトルをもたらすと、同国最大のスポーツ紙『スポーツ・エクスプレス』から年間ベストイレブンに選出された経験もあります。故に、同国とのつながりは深く、今回の一連のツイートには『プーチン寄り』『ロシア派なんですね』といった指摘もありますが、そうした声に対しても、『ロシア派でもないし、ウクライナにも友達がいるわけで、読解力がない人たちのためにもう1回言うけど、僕はただウクライナが譲歩しないと戦争が起こると思うっていう話をしてます』と反論。
しかし、ウクライナがロシアと当初から協議していれば犠牲者は出なかったかもしれないとの見解には、ネット上で賛否をもたらしており、『こうした論調が増えればロシアや中国に譲歩する以外の選択肢はなくなり、主権や自由は失われる。本当にそれが正解か?』『本人はリアリストのつもりだろうが、結果として“プーチン応援団”になっているのではないか』『ウクライナにロシアの要求を最初から丸呑みしろと言っているようなもの。ウクライナにはウクライナの考えがあるだろう。他国の立場からはウクライナの対応を批判するのは難しい』『最初からわかっていたって譲れない物はあるんじゃないのかな』『確かに目の前の戦争は本田さんの理論で避けれたかもしれませんが、これを認めると今後さらに多くの命が危険にさらされる可能性が高いことは理解されているのか疑問に感じます』といった反論が飛び交うことに。ゼレンスキー大統領にとっては、“この数日に出た犠牲者”を超える、将来的なより多くの犠牲者を防ぐためにも、ロシアに強い態度を示す必要があったと考える人も多いです」(テレビ誌ライター)
本田による、戦争の長期化と泥沼化を望まないとする「Stop the war」との思いは誰もが抱いている共通の願いであることは間違いないだろう。
(木村慎吾)