そこさえ気を付けてくれたら再現度が完璧だったのに…。アイドルヲタはそんな感想を抱いていたようだ。
6月15日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第64回では、ついに「海女~ソニック」が開幕。大トリでアキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)によるユニット「潮騒のメモリーズ」が登場した。
海女カフェ内のステージには二人を目当てに集まってきたアイドルヲタが殺到。最前列のセンターを陣取るのはもちろん、1年前からユイにがっついてきたTO(トップオタ)のヒビキ一郎(村杉蝉之介)だ。
歌唱中にはファンによるコールが全開に。その内容は「Y・U・I ラブ! 不思議の国の北リアス ユイのかわいさ じぇじぇじぇじぇじぇ!」というもの。アキに関しては終盤で「アキも そこそこ」と触れているだけだ。
「コールがやたらとユイ推しなのはたぶん、ヒビキが考えたからでしょう。普通ならユニットの片方に偏ったコールなどありませんが、ファンたちもアキがイジられキャラだと分かったうえで受け入れていそう。むしろユイ一辺倒だったはずのヒビキが、少しだけでもアキの名前をコールに入れたところに、彼の変化が表れているように感じられます」(アイドル誌ライター)
客席にはおそらくユイのファンとアキのファンが同じくらいいたことだろう。一部の視聴者はめざとく気づいていたが、ヒビキの上手後方には潜水土木科教師の“いっそん”こと磯野(皆川猿時)の姿も。彼はユイ推しを公言しており、コールも一緒に叫んでいた。
そんな「潮騒のメモリーズ」のライブシーンは再現度が高く、制作陣が実際のアイドルライブをじっくりと研究してきたことをうかがわせる。だが、コールの完璧さに対して、いささか考証不足な点を露呈していたこともまた、否めなかったである。
「それはファンが振りかざしていたサイリウムです。曲が始まった場面ではなぜか、ライトグリーンやイエロー系のサイリウムが目立っていましたが、『潮騒のメモリーズ』ではアキが赤、ユイが青と担当カラーが決まっているので、本来なら客席は赤と青に埋め尽くされていないとおかしいのです」(前出・アイドル誌ライター)
なにしろTOのヒビキやいっそんからして、ユイの青ではなく、赤のサイリウムを手にしている始末。ヒビキの下手側に立つファンはアキの名前が染め抜かれたハッピを着ているが、そのハッピはなぜか黄色だ。
そもそも「潮騒のメモリーズ」では衣装に赤と青しか使っておらず(無彩色の白や黒を除く)、ファングッズやサイリウムも赤と青で染め抜かれるべき。おそらく制作陣はサイリウムを大量に用意する際、色にまでは気が回っておらず、様々な色を観客に持たせてしまったのだろう。
果たして今後の放送でファン心理の描写は改善されるのか。アイドルファンの目線でしっかりと注目していきたいところだ。