中古車販売大手「ビッグモーター」が保険金不正請求問題を起こしたことで、タレントとしてのイメージダウンが懸念される俳優・佐藤隆太。2017年より同社のCMキャラクターを任されてきた彼だが、そのさわやか、かつ誠実な印象も相まって、世間からは「佐藤隆太も悪い人に見えてきた」との声まで出始めている。
7月19日時点で、佐藤の所属事務所は同社とのCM契約を解除する方向で協議していると報じられたが、両手でガッツポーズしながら「車を売るならビッグモーター!」と高らかに宣言“させられた”代償は決して小さくはないだろう。
最近では、俳優・東出昌大や女優・広末涼子らが、不貞報道が出た直後に出演CMを次々に降ろされ、数億円もの違約金や損害賠償の請求が取りざたされた。その理由には、撮影済みのCMをお蔵入りにせざるを得なかった、企業のイメージを悪化させたなどが考えられるが、今回はいわばその逆のパターン。ビッグモーターが佐藤に対のイメージを悪化させた形で、「佐藤に損害賠償を払うべき」などという声もネット上は飛び交っている。
今回のように、企業側が不祥事を起こし、そのCMに出演するタレントのイメージダウンを招く例は、ごくマレではあるものの、決して佐藤が初めての“被害者”ではない。
たとえば、昨年4月、大手牛丼チェーン「吉野家」の元常務が某大学の社会人向けマーケティング講座の中で、若者への牛丼販売戦略として「地方から出てきた生娘さんが、(吉野家を)初めて利用して、そのままシャブ漬けになるような企画」「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を無垢・生娘なうちに牛丼中毒にする」などと発言したと報じられた。
そして、当時の吉野家の新CMに起用されたのが、モデルの藤田ニコルだったことから、ネットには「まるで藤田ニコルがおバカ代表のシンボルみたいな」との声が上がり、“田舎娘の牛丼漬け”戦略の広告塔としてのイメージが付きかけてしまったのだ。
もっとひどい例もある。企業の不祥事により、CM内で使っていたフレーズがイジられ、イメージがこびりついてしまったケースだ。
「2011年、福岡県内の化粧品会社が発売していた茶の成分を配合したことを謳った石鹸(旧製品)に、小麦アレルギーを引き起こす小麦由来成分が含まれていたことで、2000件以上のアレルギー被害が報告される事例がありました。そして、この石鹸のCMに出演し、何歳になっても肌の美容を『あきらめないで!』と女性に呼びかけていたのが女優・真矢ミキです。元宝塚出身らしく、美しさと力強さを兼ね備えた真矢の美声で発せられるこのフレーズは当時、たちまち真矢のシンボルとして定着。真矢をモノマネする多くのタレントの間でも『あきらめないで!』のセリフが定番になったものです。しかし、美容をあきらめずにこの石鹸を使って被害に遭う人が現れたことから、騒動当時はそのフレーズを、皮肉をこめてあげつらったり、一部では真矢を批判する声まで飛び出しました」(テレビ誌ライター)
佐藤もまた、「不祥事を起こしたビッグモーターの広告塔」のイメージが完全に定着してしまう前に、CMを降板するのが賢明なのかもしれない。
(木村慎吾)