このセリフ、明らかにおかしいよね? そんな疑問を抱く視聴者も少なくなかったようだ。
12月14日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第54回ではヒロイン・スズ子(趣里)のもとを、村山興業の東京支社長を名乗る坂口(黒田有)が訪問。同社の御曹司である愛助(水上恒司)がスズ子と親密にしていることについて、クレームを付けに来たのだった。
スズ子のモデルである笠置シヅ子は、吉本興業の経営者一族である吉本穎右氏と出会い、交際に発展。のちに子供も生まれており、本作ではその史実をなぞっている。一方で創作要素も入っており、実際には戦後になってから穎右氏の母親に結婚を反対されていたが、作中では交際前から愛助との交際に横やりが入っていた。
その違いは演出の範疇と言えるだろう。だが今回、スズ子のセリフにどうにも不自然な点があったというのだ。
「スズ子の事務所を訪れた坂口は『わしは村山興業東京支社長の坂口いうもんでっけど』と自己紹介。スズ子に『ウチのボンをたぶらかすのやめていただきたい』と釘を刺したうえで『一時の火遊び、やめていただきたい』と詰め寄っていました。突然の訪問に戸惑ったスズ子は愛助の下宿を訪れて報告。その際に口にしたセリフが明らかにおかしかったのです」(テレビ誌ライター)
坂口が来たことを伝えつつ、スズ子は「えらい剣幕で…どなたなん?」と愛助に尋ねていた。愛助は「東京支社の一番偉い人で、いろいろ面倒見てもろうてるんでっけど」と答えていたが、このやり取りは不自然に過ぎるというものだろう。
そもそも坂口は最初から村山興業の東京支社長だと名乗り、愛助との交際をやめるように忠告していた。坂口が何者なのか、そして何のためにスズ子の元を訪れたのかは、すべて説明済みだったのである。
「その状況でスズ子が『どなたなん?』と愛助に尋ねることなどあり得ないでしょう。こんな台本だったら、誰かが《このセリフはおかしい》と指摘しそうなもの。そう考えるとスズ子のセリフが不自然なのは脚本のミスではなく、何かしらの編集が入ったことで展開が不自然になってしまった可能性がありえそうです」(前出・テレビ誌ライター)
前日の12月13日に放送された第53回でも、スズ子が古巣の梅丸少女歌劇団を訪れた場面が不自然に短いとの指摘が入っていた。これに関しては世間を騒がせている宝塚歌劇団のパワハラ問題を想起させないようにするため、編集を施した可能性が指摘されている。
そして今回の第54回でも明らかにセリフのつながりが不自然なのは、なにかしらの編集が入ったせいではないかと、視聴者が訝るのも無理はないところだろう。
「坂口の訪問シーンにはもう一つ、不自然な点がありました。それは彼がなぜか、壁に空いている隙間から事務所に入ってきたこと。しかも出ていく時には玄関を使っていたのもおかしな話です」(前出・テレビ誌ライター)
これらの演出には何らかの意図があるのか。それともすべて、雑な作りが原因なのか。視聴者のほうは、もやもやした気持ちを抑えきれないようだ。