「画伯」と呼ばれるお笑いタレントが誕生して、およそ30年が経った。先駆けは、1992年に描いた1枚が故・岡本太郎氏の目に留まったジミー大西だといわれている。
ジミーは、油彩をはじめた98年に芸能活動を休業して、ピカソの生誕地であるスペインへ移住。インドやブラジル、中国といった国々も訪れ、土地から影響を受けた作品を制作していった。2000年代には岡本氏の「太陽の塔」などに影響を受けてアクリル、鉄、石粉粘土も作品化。15年に休業したが、20年に“師匠”明石家さんまから言われた言葉をきっかけに、再開。創作活動30年を祝した22年には、再び作品展を開催した。
94年に創作活動をはじめたのは、とんねるず・木梨憲武。同年から日本国内で9度も個展を開催。15年にはアメリカ・ニューヨーク、18年にイギリス・ロンドンでも成功させた。今年は、俳優としても再評価。主演ドラマ「春になったら」(フジテレビ系)で余命宣告をされて旅立つ父を演じて、SNSや見逃し配信で高い評価を得た。11月には約29年ぶりに、相方の石橋貴明と日本武道館にコンサートで“凱旋”する。
近年の芸人画伯といえば、野性爆弾のくっきー!。かねてからアーティスト名「肉糞太郎」の別称で芸人のほかに音楽、イラストで活動していたが、17年あたりから才能が開花。「2018年上半期もっともブレイクした芸人」にも輝くと、クリエイターとしての仕事も増えた。
「ゲスの極み乙女。の川谷絵音さんがプロデュースするバンド・ジェニーハイでもデビュー。19年には初の作品展で15万人も動員して、ニューヨークで開かれた美術マーケット『Artexpo New York』に初出展すると、1000組の中から“最も注目する5人”に選定される快挙を成し遂げました。5作品が約1100万円で売れたとか」(女性誌ライター)
そんなくっきー!のお墨付きなのが、とろサーモンの久保田かずのぶ。とろサーモンといえば、「M-1グランプリ2017」の王者。久保田は、趣味で描いていた絵画を集めて22年に個展を開催すると、「解放の終戦」という1枚が100万円の高値で購入された。最終的には、出展した57作品が完売。作品集も出版して、勢いに乗った。
「久保田さんはM-1王者となってからも、芸人としては迷走の時期が久しく続きました。妻とも離婚し、やぶれかぶれになったことも。クズ芸人にカテゴライズされながらも、芸人からの支持は揺らぐことなく高地位をキープ。画家としてまとまったお金を手に入れられるようになったことで、23年に3LDKの高級マンションを購入しました」(前出・女性誌ライター)
マンション内にはアトリエ部屋をもうけており、風呂やトイレ、リビングや都内を一望できる屋上、屋外サウナといったすべてをDIY。覇者の証を手に入れた。
60年ローンを組み、完済予定は103歳。プライベートまでしっかりオモロイあたりが、さすがM-1王者だ。
(北村ともこ)