サッカー元日本代表FWのカズこと三浦知良が57歳となった今も現役を続けることへの想いや、ポルトガルでの挑戦で培った“新鮮な体験”について語っている。
カズは、2023年1月から1年4カ月にわたって、ポルトガル2部リーグ・UDオリヴェイレンセに横浜FCからの期限付き移籍で加入。筋肉系の負傷などに見舞われたこともあり、在籍中の出場はわずかに9試合でゴールはゼロという戦績に終わった。
このことについてカズが「思うような結果は出ませんでした。悔しさばかりでした」と話したのは、ゲスト出演した6月23日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)でのことだ。
同じく元日本代表の前園真聖氏と対談したカズは、日本とポルトガルでの自身の“扱いの差”についてこうも語った。
「こちらではみんな、ボクに気を遣う。あちら(ポルトガル)では監督、コーチ陣、選手も忖度なし。ガチンコ勝負で遠慮も無し。それが刺激的で、精神的に若くいられた」
対等な関係性で切磋琢磨できたと振り返ったカズはその具体的なエピソードとして「監督は『ミウラ、もっと速く走るんだよ!』とか言ってくるし。走れるわけないじゃん」とも。彼の地での忖度のなさを挙げつつ、還暦が近づく中での自身の限界について吐露してもいたのだが、加えて「日本ではそんなこと言ってくる人はいない。その環境に酔っちゃってました。“オレってカッコいいな”って」と笑いながら語ったのだった。
「57歳になっても現役選手としてキャリアを続けるカズの功績は、海外メディアからも取り上げられるほど注目のマトとなっています。ただ、国内での“忖度ムード”を認識したり、“もう速く走れるわけないじゃん”と認識しながら、現在も引退せずに日本でプロキャリアを続けていることには、サッカーファンの視聴者の間では微妙な反応がネット上に散見されていましたね。もちろん、彼の長きにわたる実績にはリスペクトの念を示しつつも、『もはや、チヤホヤする人ほど、逆にカズさんをプロのサッカー選手として見てはいない、扱っちゃいないのではないか』『日本では皆が遠慮していると気付いてるなら、潔く決断をしてください。ただの自己満足に見えてしまいますよ』との声がありました。カズにはカズの美学があり、それを真っ当しているのでしょうが、プロとしてお金をもらっている以上、年齢を言い訳にしたような『走れるわけないじゃん』との“開き直り発言”はややマイナスイメージになってしまったかもしれません」(スポーツライター)
また、カズは4-3で勝利した昨年5月のリーグ最終戦・レイションイスSC戦で、後半18分から出場し、ノーゴールに終わりながら、マン・オブ・ザ・マッチを受賞。これが“忖度受賞”だとして物議を醸し、敵チームの指揮官から「なぜミウラにマン・オブ・ザ・マッチが与えられたのか理解できない。ここはサーカスになってしまう」と痛烈批判されていた。
これにカズは「この賞はボクのものではなく、チームのもの。チームで受賞した」と強調。ただ、“ポルトガルでは忖度がなかった”とする彼の見解に、首を傾げる反応が出てしまうのもこうした経緯があったからだろう。
(木村慎吾)