今回は、いよいよ“顔と恋”についてです。これから、「“恋愛心理”の研究分野から、とても興味深いリポート」 をお伝えします。
そもそも、カップルはどうして生まれるのでしょうか?人は、星の数ほどある男女から、どうやって恋の相手を見つけるのでしょうか。何をよりどころとして、相手をベストパートナーだと判断するのでしょうか。実は、「相手を選ぶ基準は、男女によって、明確なちがいがある」のです。
男女別に見ていきましょう。
今回は男の側から、について。私たち男の実感としては、「そりゃやっぱり、“最初は顔”だよな」 というのが正直なところではないでしょうか。事実、「女を前にした男は、脳内の『島皮質(とうひしつ)』と呼ばれている部分を活発にはたらかせている」 のです。そこは、視覚に関する情報を担当する部分です。つまり、「男はやっぱり目で見て、恋をする」のです。
「ああ、やっぱり“顔”から入るんだな…」 と思う方も多いでしょう。でも、ちょっと待ってください。見る場所は、“顔ではない”のです。
男が、“まず目をつける”のは、女性の意外な部分なのです。では、「男は、女のどこを見て、恋の相手をさがしているのでしょうか」 その答えは、「女性の“腰のくびれ”」 だというのです。
テキサス大学のテファンドラ・シン博士の研究によれば、「世界のどこでも、男は、まず、女の腰の“くびれ(ウェストとヒップの比率)”に目をやる」といいます。しかも相手が、やせ形、普通、太めなどの、どのタイプでも「ウェストとヒップの比率が、7 : 10 の“くびれ”に一番魅力を感じる」 というのです。シン博士が、世界の絵画や彫刻などの美術品の“くびれ”を測定した結果も、その“くびれ”の比率の平均は、7 : 10 でした。
では、なぜ“くびれ”なのでしょうか?ここには、「生き残りの戦略」が深く関与しています。実は、“くびれ”は、「出産適齢期の象徴」なのです。生物である人間には、「自分の子孫をできるだけ多く、確実に残したい」という本能的な欲望があります。だから、男は、健康な赤ちゃんを産んでくれる女性を探し求めています。そして、そのための最適な女性を、腰の“くびれ”で確かめているのです。
シン博士は、こう言っています。
「その女性が、健康な赤ちゃんを産んでくれるかどうか、男性は何百万年もの間、目で見極めなければならなかった。男性は、まず“くびれ”を見ることで、無意識にそれを確認しているのです」(NHKスペシャルより、以下同じ)
さらにシン博士は、「男は一瞬見ただけで女性を評価するようにプログラムされている。“この人だ”とね。これが複数の人から相手を絞るためのメカニズムです。そして、そのうえで、“笑顔が素敵だ”などという“くびれ”以外の分析を深めているのです」とも。
男の“恋のはじまり” は“くびれ”。そこから始まって、相手の“顔・性格・ことば・動作”などを見ていた、というわけです。
かつてヨーロッパでは、極端にウェストを強調したドレスが生まれました。さすがにこれは、コルセットで締め上げることによって健康に害があったということですが、これは異常。
確かに恋のきっかけは“くびれ”なのですが…でも、“くびれ”に異常に固執することはありません。顔も体も、そして、心も大切なあなたです。だから、自分がステキな自分でいつづけるよう、ムリせず、少しずつ頑張って生きていくことが大切なのではないでしょうか。
男だって、“くびれ”だけで舞い上がってしまうほどバカではないです(と思います)から。
さて次回は、「“顔”と“恋”」②女の恋のはじまり…「女が見るのは“顔”じゃなくて…」です。
(画像は「NHKスペシャル」より)
●プロフィール
なかむら・かつひろ 1951年山口県岩国市生まれ。早稲田大学卒業後にNHK入局。「サンデースポーツ」「歴史誕生」「報道」「オリンピック」等のキャスターを務め、1996年から「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)ほか、テレビ東京などでワイドショーを担当。著書に「生き方はスポーツマインド」(角川書店)、「山田久志 優しさの配球、強さの制球」(海拓舎)、「逆境をチャンスにする発想と技術」(プレジデント社)、「言葉力による逆発想のススメ」(大学研究双書)などがある。講演テーマに「“顔”とアナウンサー」「アナウンサーのストップ・ウォッチ“歴史館”」「ウィンウィン“説得術”」など多数。