中国で「高市総理は『進撃の巨人』の“車力”にそっくり」風刺が話題も国内では誉め言葉として受け止められるワケ
高市早苗総理が 12月1日、東京都内で開催されたサウジアラビアの投資関係者らが集まるイベントで、人気アニメ「進撃の巨人」の、「いいから黙って全部オレに投資しろ」という有名なセリフを英語にして投資を呼びかけた発言が、国内外で大きな注目を集めている。
日本の漫画やアニメがサウジで人気なことに絡めての発言で、日本では「アニメ文化を使った柔らかいアピール」と好意的に受け止める声も多かった一方、中国のSNSでは「作品の文脈を理解していない」「外交の失敗だ」と批判が噴出。このセリフは主人公・エレンが軍法会議で感情を爆発させた場面のもので、作品内での象徴性が強いことから、中国側には政治家が引用することへの抵抗感が生まれたようだ。
「中国のネット上では、エレンが作中で虐殺に関わる存在になることや最終的に悲劇的な結末を迎える点が強調され、『このキャラの末路を知らないのか』と皮肉る投稿が相次いでいます。さらに『エレンはこの後すぐ蹴られるんだけどね』『首を斬られるぞ』など、作品ネタを持ち出したヤユが続き、アニメのストーリーを政治批判に結びつける独特の盛り上がりを見せています」(スポーツ紙記者)
こうした“作品を盾にした批判”がヒートアップするのは中国ネット文化の特徴だが、話題は次第に高市氏の容姿にまで飛び火していったという。
「目立つのが、高市氏の見た目を『進撃の巨人』に登場する“車力の巨人”に似ていると指摘する投稿です。車力の巨人は、ギャグ漫画のキャラにもとらえられるような外見のキャラであるためか、中国では侮辱として使われているらしく、多くのユーザーが面白半分で拡散しているようです」(前出・スポーツ紙記者)。
しかし、この容姿イジリに対して日本の原作ファンからは、むしろ歓迎の声すら上がっているという。エンタメ誌編集が解説する。
「車力の巨人は作中で非常に高い持久力と判断力を持ち、長期任務が可能で仲間との連携能力もトップクラス。戦況に応じて的確に機転を利かせる“知性派の万能巨人”として描かれています。つまり外見だけを取り上げた中国のヤユは、作品を深く知る日本のファンからすると『優秀なキャラに例えるのは逆に褒め言葉なのでは?』という反応につながっています。また、車力の巨人の変身前の人物である『ピーク』は、作中でも屈指の美人キャラとして人気が高い。このため日本側では『何もわかってない中国側が浅い知識で煽ってくるのが面白い』『ピークを侮辱に使おうとする時点で負け』という声が続出。容姿をからかったつもりが、作品を熟知する日本のファンに冷静に受け流され、逆に知識の浅さを笑われる結果となっています」
アニメが世界中に広がる現代ならではの興味深い文化衝突を示す出来事となったようだ。
