子どもたちにたっぷり経験して欲しいことの一つに、「料理」があります。今や、スーパーのお惣菜や電子レンジでの調理で手軽に食事ができる時代ですが、そんな時代だからこそ、昔ながらの方法で料理をする経験は、子どもの成長を促す上でも大切なのです。ではなぜ、料理の工程を経験することが子どもの成長につながるのか、そのメリットをみていきましょう。
■“育てる経験”で心が豊かになる
お金を渡せば食べ物が受け取れる世の中ですが、お米も野菜も、肉も魚も、多くの人々の協力があって店頭に並んでいます。そのことをしっかり感じ取ることができるのは、“畑や田んぼでお手伝いをする”経験でしょう。雨の日、風の日、暑い日、寒い日…食べ物は収穫の日を選ばせてくれないという自然の厳しさもまた、子ども時代に経験させたいこと。多くの子どもと接している筆者の経験から、たくさんの大人に支えられて自分が生きていることを実感している子は、心が豊かだなと感じます。
■“切る経験”で立体の変化を感じ取れる
料理には、食材を適切な大きさに変化させる工程が不可欠。ここでは、刃物を使ったり切ることによって、立体の形が変化していくことを目で見て感じ取ることができます。意外かもしれませんが、たくさん経験しないとスムーズにできないのが切ること。たっぷりの遊びの中でハサミの使い方を上達させるように、食材を切ることもたっぷり経験させてあげたいですね。
■“段取りを考える経験”で効率のよい行動ができるようになる
料理はとても頭を使う活動です。どのタイミングで下ごしらえをするか。その間に先に火を通しておきたい、または冷ましておきたいものはあるか。量を測るには、どんな食材にどんな器具がいいのか…大人は瞬時に思いつくことができても、初心者の子どもにとっては一苦労です。ここを楽しめる子は、生活での段取りや学習での効率を考えて行動する力も高まります。
昔は当たり前のようにお手伝いしていたことも、今ではイベントのように計画しないとできないことが多いですよね。ぜひ、「料理」の工程をイベントの一つに組み込み、楽しくたっぷり、子どもたちに経験させてあげてください。
(Nao Kiytota)