最近、どのくらい泣きましたか?
実は、涙を流すことで、日頃のストレスを発散させたりチームの絆を強めたりすることができるそうです。ストレスマネジメントの一環として、全国の小学校や企業などで「涙活ワークショップ」を実践している“なみだ先生”こと、感涙療法士の吉田英史さんにお話をうかがいました。
■「涙活」とは?
「涙活」とは、能動的に涙を流すことでストレスを発散する活動のこと。悲しいときや感動したときに分泌される“情動の涙”によって、脳がリラックスした状態に切り替わり、ストレスの解消や心の混乱・怒り・敵意を改善する効果が期待できるといいます。これは、ドライアイを防ぐ基礎分泌の涙や、タマネギによる角膜保護の涙にはない効果なのだそうです。
■涙活で共感力を高める
人が感動するとき、共感脳といわれる内側前頭前野が震えることで、目から涙を流すのだそうです。そこで、吉田さんは学校現場で、仕事でストレスをためている教職員や子育てで疲れている保護者(PTA)、生徒たちに向けて、独自に開発した“共感力を高める”涙活ワークショップを開催しています。
ワークショップでは最初に、人間の強さ・弱さや家族の温かさについて考えさせられるもの、アスリートの頑張る姿を映したものなど、感動動画を鑑賞します。その後、感じたことをグループになって話し合うそうです。吉田さんいわく、「映像を見て、あるシーンで泣く瞬間に、自分自身が大切にしている価値観が出てくる」ため、参加者の多くは次第に人間関係や家族の悩みをカミングアウトするようになるのだとか。想いの共有がその人自身を深く知る機会にもなり、メンバー同士が仲良くなり、組織・クラスの連帯感や一体感を生み出すことにもつながるのだそうです。
■泣ける話の創作でチームの絆を深める
また、参加者は泣ける話の“なみだ作文”を書き、発表し合うそう。内容はフィクションでもノンフィクションでもOK。小説、エッセイ、詩、手紙調など、さまざまな形で自由に書いてもらいます。とくに多いのは手紙形式で、多くの人が母親や家族、共に頑張る仲間への感謝の気持ちを綴り、発表しながら涙を流すといいます。この時間が一番共感脳を刺激し、会場全体が感動に包まれまれるそう。
“なみだの授業”を取り入れた公立小学校からは、「悲しみを共有することで、思いやれる力や違いを尊重できる力が育まれ、そしてクラスとしての一体感が増したような気がします。これまでの人生で喜怒哀楽の場はそれなりに共有してきたように思いますが、悲しみを共有する場は少ないように思います。これは、これまでにない新しい取り組みですね」という声が届いたそうです。
心をスッキリさせるだけでなく、相手を思いやる心や団結力を育む「涙活」。休日に家族全員で感動的な作品を鑑賞し、感想を話し合う時間をつくると、家族の絆も深まりそうですね。仕事や家事、育児に疲れたときなどに、リフレッシュとして“感動タイム”を取り入れてみてはいかがですか。