果物は代謝を高めるビタミン・ミネラルの宝庫。一方で、果物の甘さのもとである「果糖」は、体脂肪の増加を招く成分として敬遠されがちです。そこで、ダイエットをしている方におススメの「果物との正しい付き合い方」を、臨床栄養学の第一人者で管理栄養士の足立香代子さんにうかがいました。
■肥満の原因は糖質摂取ではない
食後に血糖値が上昇すると、血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌されるそうです。ただし、食事をすれば血糖値は上昇するもの。血糖値上昇が悪いわけではありません。問題は、食後の血糖値が急上昇した「食後過血糖」。食後過血糖になると、インスリンが血液中に大量に分泌されて余分な糖を脂肪としてため込みやすくなるのだとか。糖質の摂取自体ではなく、食後血糖値をコントロールできないことが肥満につながるのだそうですよ。
■果物では食後過血糖にならない
キウイフルーツ2個分のカロリーにほぼ相当する6種類の果物(キウイフルーツ、りんご、オレンジ、みかん、パイナップル、バナナ)を食べたときの血糖値を計測する実験を行った結果、どの果物も30分後に最も高い食後血糖値を示したものの、食後過血糖となるような値にまでは上昇しなかったそう。なかでもキウイフルーツとりんごは、とくに血糖値インパクトが低い果物ということがわかったそうです。
■「普段の食事にプラスキウイ」がいい
日常的な食事を想定した食事にキウイフルーツをプラスした場合、食後血糖値が最も上昇する30分後も1時間後も、キウイフルーツの影響による血糖値上昇はほとんどみられず、キウイフルーツをひとつ足すことでビタミンCは1食分の2倍以上、ビタミンE、葉酸、銅は1食分以上、食物繊維、カリウムはほぼ1食分の必要量を満たすこともわかったそうです。キウイフルーツは、食後過血糖を起こさない他、栄養面でも優れているようですね。
■太りにくい果物は「糖バランスと食物繊維量」に注目
果物のぶどう糖、果糖、ショ糖と食物繊維含有量を比較すると、食後血糖値インパクトが小さいキウイフルーツは、他の果物と比較してショ糖が顕著に少なく、果糖とぶどう糖が同程度、食物繊維量は圧倒的に多く含まれているのだとか。りんごも同じく食後血糖値インパクトが小さく、ショ糖がキウイフルーツよりは多いものの、果糖が最も多く、食物繊維量がキウイフルーツに次いで多く含まれているそうです。
一方、食後血糖値インパクトが大きいことがわかったパイナップルとバナナは、糖のバランスがショ糖に偏り、食物繊維量はキウイフルーツの半分以下の含有量だったとか。これらのことから、果物は果糖と食物繊維が多いほど、またショ糖が少ないほど血糖値を上げにくいといえます。血糖値のコントロールをする参考になりますね。
結論をいえば、「果物=太りやすい」は誤解。むしろ、上手に取り入れることで、健康維持やダイエットにも役立つのです。ぜひ、栄養バランスを整え、代謝を高める食事の工夫に取り入れてくださいね。
(美容・健康ライター Nao Kiyota)