NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」が12月15日、最終回(第47話)を放送し、全話の期間平均視聴率が8.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが16日にわかった。
2012年の「平清盛」と15年の「花燃ゆ」の期間平均12.0%を3.8ポイントも下回り、大河ドラマ歴代ワースト記録を更新してしまった。
「低視聴率にあえいだ原因としてはいくつか考えられます。まずは大河ドラマでは“近現代モノ”はウケないということ。大河で人気を博すのは“戦国時代”と“幕末”で、それ以外は苦戦を強いられる傾向にあります。中でも明治維新以後、大正時代以降の題材は敬遠されますね。そして、主人公が金栗四三と田畑政治という、一般的な大河ファンには知名度の低い人物だったことも要因でしょう。大河では一般にも名の通った“歴史上の人物”が主人公としては好まれています。また、ストーリーに様々な伏線をしかけたりする宮藤官九郎さんの脚本が、高齢者の多い大河ファンには面白さが伝わりづらかったということを指摘する関係者も多いですね。特に第一話が、突然、様々なストーリーが同時に走り出したような構成で、やや難解だったことで、多くの視聴者を取りこぼしてしまったとの分析をする関係者もいます」(テレビ誌ライター)
また、裏に高視聴率を取る強力な番組があったこと、出演者が不祥事で降板・出演シーンカットするなどトラブルが重なるなど不運にも見舞われた感が否めない。
「それでも宮藤さんのファン、既存の大河ドラマに飽き飽きしていた層には受け入れられましたし、見続けた視聴者の満足度はかなり高かったようです。また、視聴者は2020年に行われる東京オリンピックの見方に深みが増すことは確かでしょう」(前出・テレビ誌ライター)
最終回を迎えた15日夜、ネットでは「『いだてん』はまれに見る傑作だったと思う。終わってしまってさみしい」「最終回も色々感動した。初回から見続けて良かった」「近現代の日本のスポーツの歴史なんて学校でも習わなかったし、興味深かったよ」「嘉納治五郎は柔道家として名前は知ってるけど、五輪や日本スポーツ界のためにこんなに尽力してたとは初めて知った」「東京五輪招致の裏側のドラマを知ることが出来て有意義だった」と、上々の反応が起きている。
「ブルーレイレコーダーなどが普及して、ドラマを生で見ずに録画で楽しむスタイルも一般的になりましたし、視聴率の低さだけで失敗作と決めつけるのは早計でしょう。『いだてん』を大いに楽しんだ視聴者も少なくはなかったことを考えると、今後の大河ドラマのあり方に一石を投じたと言えるのでは。見逃したという向きは、ひとまず12月30日に放送予定の総集編を押さえておきたいところです」(前出・テレビ誌ライター)
2020年は明智光秀が主人公の「麒麟がくる」、21年は実業家の渋沢栄一を描く「青天を衝け」に決定しているが、22年以降果たしてどんな題材を持ってくるのか、注目される。
(石見剣)