11月12日にCDデビューする関西ジャニーズJr.発の「なにわ男子」。期待の新星7人組は個性豊かだ。オリックス・バファローズ好きで、実況席デビューをはたしている最年長の藤原丈一郎。イケメン&セクシー担当は高橋恭平で、あざとかわいいNo.1は大西流星。関西ジャニーズJr.屈指の演技派である西畑大吾、美形長身のビジュアル担当は道枝駿佑。最年少で衣装プロデュースも担う長尾謙杜に、リーダーの大橋和也とキラ星ぞろい。
結成は約3年前で、翌19年に初の全国ツアーを発表すると、208万通を超える応募が殺到。Jr.では異例のアリーナツアーを完走した。今夏は、未デビューグループとして史上初となる「2021 ABC 夏の高校野球応援ソング」にオリジナルソング「夢わたし」が起用された。
数字にまつわる意味を多く与えられているのも特徴だ。
デビューが発表された7月28日は「なにわの日」。デビュー日の11月12日は、所属レーベル会社のジェイ・ストームの設立20周年記念日。さらに、CMキャラクターを務める森永製菓のハイチュウは、8月3日から12日まで毎日ツイッターを投稿。「812」で「ハイチュウの日」に引っかけたファンサービスだ。
スーパーアイドルグループになる条件が整っているなにわ男子だが、グループ結成の報せは雑だったという。当時を知るアイドル誌ライターが振り返る。
「華々しい発表はなく、メール1本だったのです。その文面も、『お疲れ様です。なにわ男子というグループができます。メンバーは‥‥』と7人の名前が書かれていただけ。最後に『頑張っていきましょう』と締めくくられてはいるけど、あまりにも唐突で簡略すぎて、メンバーはとまどったそうです」
そもそもジャニーズJr.は、誕生の時点から不確かなことが多い。オーディションは一般公募が一切なく、完全非公開。ジャニー喜多川氏のスカウトではなく、履歴書を郵送した少年たちは突然オーディションの日時と場所、時間を告げられる。
その後も明確に「合格」を言い渡されることがないまま、先輩のバックダンサー、雑誌の取材で呼ばれ続ける。電話やメールで「○月○日○時、○○に来てください」とだけ告げられ、現場に行くと、ジャニーズJr.として歌番組やコンサートのステージに立つことも日常的だ。
「西畑がそのパターンです。中学3年生の時、お母さんにおもちゃ屋に行くと嘘をつかれて山下智久の大阪城ホール公演に行くと、いきなりゼッケンを付けられてステージに上げられた。同じ私服の子どもたちと踊ると、それが公開オーディションだったのです」(前出・アイドル誌ライター)
最初はダンスレッスンがなく、先輩のコンサートが決まり、そのバックダンサーとして選出されるとやっとレッスンが始まる。スケジュールが読めず、未来の自分が見えないため、Jr.の段階でドロップアウトする者が大半だ。そんななかから這い上がり、チャンスをつかんだのが、なにわ男子なのだ。
11月は、V6の解散ショックを明るい笑顔で吹き飛ばしそうだ。
(北村ともこ)